
ヴェニスを訪ねて 総務課 事務官 佐々木みどり 「ヴェニスを見て死ね」と言わしめる程、人々の憧れを集 めてきたヴェニスを、8月に訪ねることができました。 成田を離れて十数時間後、初めて目に飛び込んできたヴェ ニスでは、運河沿いの建物が控えめにライトアップされてお り、その間を水上バスが縫うように進んでいくのはとても不 思議な感じがしました。 朝になってヴェニスの街を歩いてみると、思っていたのと かなり違う印象を受けました。 溢れんばかりの観光客に圧倒され、何よりも、街全体が写 真から想像していたものより「薄汚れている」ように感じた のです。しかし、考えてみれば当たり前のことで、それが調 和の取れた古い街並みをそのまま残す、今のヴェニスを作り 上げてきたのであって、私の目が築数十年の建物に馴染んで しまっただけのことです。 街のいたるところで修復工事が行われており、ヴェニスは 完成するということはなく、常にほころびたところを修復し ながら生き延びていくように感じました。 隅から隅まで運河が張り巡らされ、建物と建物の隙間とし か例え様のない行き止まりだらけの小道が走るヴェニスは、 まさしく「迷宮」です。地図とにらめっこしながら一直線に 目標へ向うより、迷いながらも街並みを楽しむのがヴェニス らしい気がします。 ヴェニスには多くの美術館や教会があります。 サン・マルコ寺院の天井を埋め尽くすモザイク画は圧巻で、 いくら見ても見飽きないほどです。ヴェネツィア派絵画を集 めたアカデミア美術館では、かつてのヴェニスを垣間見るこ とができるともに、ヨーロッパの文化がキリスト教に深く根 ざしていることを実感しました。日曜日の教会には、多くの 人が礼拝に訪れ、それらの中には旅行者も混じっているよう でした。神と対話する祭壇を持ち、見知らぬ土地へ行っても キリスト教という絆でつながっている彼らが、何だか羨まし いような気がしました。これらの教会や美術館をまわればま わるほど、キリスト教について、ヴェニスの歴史について知 りたくなること間違いありません。 最後に、ヴェニスでの食事に関してはこれは文句のつけよ うがありません。海に囲まれたヴェニスは魚介類が豊富で、 特に魚介類のリゾットと小さなイカをトマトソースで煮こん だものは、忘れられないおいしさでした。ナスやズッキーニ などの野菜をチーズと共にはさんだサンドイッチも、一体ど うしてこんな味になるのかと不思議なほどでした。 ヴェニスの冬は寒さが厳しく、訪れる人がめっきり減ると いいます。にぎやかな夏からは想像できない、冬のヴェニス も是非見てみたいものです。