防衛大同窓会会長挨拶


平成15年年頭のご挨拶      防衛大学校同窓会会長 阿部 博男

 全国各地で、また日本を離れゴラン高原、東チモール、インド洋上、南極等任務遂行中に平成十五年の新年を迎えられた同窓生の皆さん、明けましておめでとうございます。

 まず最初に、昨年十一月十六日(2002.11.16)、無事防衛大学校創立五十周年同窓会行事を終了することができましたことを報告させて戴きます。皆様方から頂戴しました数々のご支援に対して心から御礼申し上げます。

 創立五十周年行事を開始するに当たり、十月八日、諸行事が成功裡に成就することを念願し、防衛大学校において達磨の片目を入れる儀式がありました。そして、去る十二月十八日には、全ての行事が所望の成果を得て終了したことを祝い、もう一つの目を入れる行事を済ませました。その席上、西原学校長から同窓会の協力に対し、深甚な謝意を頂戴しました。同窓会記念行事の際に頂戴した感謝状と合わせ、深く恐縮したところであります。学校長をはじめ防衛大学校の創立五十周年行事に対する取組は、早くから計画的、積極的で、その上現場では素晴らしい協力を戴きました。同窓会としても学校当局に呼応し平成八年に記念事業委員会を立ち上げ、学校の施設整備に併せて、卒業生の思いを後輩に申し送るために、記念講堂正面にステンドグラス「若人の城」、中央広場に彫刻像「国の護り」を寄贈することとしました。創作して戴いたステンドグラス原画の平松礼二、彫刻像の高橋洋の両先生には、我々の思いを深く理解して戴き、素晴らしい作品を作って戴くことができました。この両モニュメントは、防衛大学校を巣立つ後輩の思いでの中、永く刻まれていくものと確信しております。

 この様なすばらし作品を寄贈できたのも、同窓生一同に代わり、七年の長期間、周密な計画と果敢な実行を実践した佐久間委員長以下記念事業委員会のメンバー一人一人の真摯な活動に負うところが大きく、この場を借りて深く感謝を表させて戴きます。

 この他に、記念事業委員会が計画した事業が幾つかありますが、一つ大きな計画が残っております。それは、MCI(Militaly Cyber Institute)です。これらのIT化社会の中で、われわれの軍事に関する知識、経験をまず相互に同窓のネット・ワーク内で陶冶し、質を高め、軍事に無関心な社会に、必要性に併せて提供しようとするものです。 ITの活用について、いまだ評価が分かれておりますが、同窓生の熱意と努力で使い易く、高品質なデーターベースが生まれることを期待しております。

 次に、世代交代について述べます。同窓会は、昭和三十六年設立以来、四十年間一期生が会長を務めて参りました。五十周年の記念すべき節目の年を終わった今日、「新しい酒は新しい皮袋に収めろ」との例えどおり、諸業務のけじめを付けて、委員会の任務が終了する段階で、現同窓会本部の体制を一新いたしたいと考えております。
 昨年二月から各期生会代表(一期から十期)から意見を聴取し、推薦を戴き、次期会長には六期生の陸上要員からということになりました。
 同窓会長を出す機会のなかった二、三、四、五期の諸兄には誠に申し訳なく思っております。後輩期が会長になると、先輩期の同窓会活動への参加が消極的になると心配する向きがあります。先輩の方々には宜しくご配慮をお願い申し上げます。

 最後に新年早々、申し上げ難いことですが、会費の納入状況が改善されず、先行き不安を感じております。新たに同窓生となる卒業生はもとより、卒業してから時間を経た同窓生でも是非会費に関心を持ち、お納めいただきたく思います。

 二十一世紀も三年目を迎え、ようやく我が国を取巻く安全保障が外郭を現してきたように思います。同窓生の活躍の場も朧気ながらはっきりして参りました。
 防衛大学校の同窓生の活躍の場は、少なくとも、これまでの踏襲では打開できないことがはっきりしてきました。国内政治情勢を理由に国際的な貢献を免れると言ったことは許されなくなってきているのです。どうか同窓生の皆さん、我が国唯一の軍事プロ集団であることを心に留めて、主体性を発揮し、二十一世紀での我が国の平和と安全に懸命の努力をされますようお願いいたします。

 最後に、同窓生各位並びにご家族皆々様のご多幸とご健勝を心より祈念申し上げ、新年のご挨拶と致します。


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