
応用物理化学研究室では、「温度や圧力といった外的因子を変化させて水や水溶液の構造や物性などの幅広い化学反応に起因する現象」についてその基本原理の解明から応用展開までを視野に入れた教育研究を行っています。
研究例1:イオン液体の高圧相転移挙動
最近、イオン液体のリサイクルや高圧力を用いたイオン液体の精製という工業的観点から、極限環境下におけるイオン液体の相転移挙動が注目されています。高圧下におけるイオン液体の相転移挙動は、液体から高圧結晶相へ転移する系もあれば、結晶相以外の状態を取ることも考えられ、高圧下におけるイオン液体の相挙動は非常に複雑です。そこで、イオン液体の高圧相転移挙動を明らかにするために、Raman分光法や放射光X線回折法を用いて、イオン液体の高圧相転移挙動と溶液構造解析を行っています。
研究例2:イオン液体を用いた生体環境に及ぼす影響
カチオンとアニオンから構成されるイオン液体は、構成イオンの組合わせによって、水への溶解性など様々な溶媒特性を変化させることができるため、バイオサイエンス分野への応用が期待されています。しかしながら、イオン液体を用いた場合の環境毒性や生体分子への影響は未だ不明な点が多いのが現状です。そこで、モデル生態系としてアルテミアを用いた環境毒性や蛋白質の構造や活性に及ぼす影響に関する研究を行っています。
研究例3:光と物質の相互作用に関するシミュレーション
光(電磁波)と物質の相互作用を利用して微視的な運動を見る分光技術ならびに光波を制御して産業展開するフォトニクスに関する実験技術は、複雑化しつつも緻密な構成へと急速な発展を遂げています。こうした発展には計算機シミュレーションを用いた解析や予測が不可欠である一方、その計算技術は最先端の実験研究の求める水準に達していません。こうした現状を克服するため、光との相互作用を組み込んだ新たな計算化学の開発を行い、光分子科学・光物性に関する解析を行っています。