防衛学特論のレポート指導における懸案事項と浦口ゼミでの取組み

平成6年4月11日に行われた防衛学特論指導法研究会において、浦口薫2等海佐が「防衛学特論のレポート指導における懸案事項と浦口ゼミでの取組み」について発表しました。 
 防衛学特論のレポート指導に際しては、様々な懸案事項が存在します。学生は必ずしもレポート作成に対するモチベーションが高いとは限らず、中にはレポート作成の基礎が欠如している者もいます。また、文章スキルのレベルが異なる学生を同時に指導し、半年間でレポートを完成させる必要があります。これらの懸案事項に対応すべく、浦口2佐が自分のゼミ学生に実施した具体策を紹介しました。
 浦口ゼミでは、レポート作成が自分の将来に直接的に役立つこと、すなわち、中級幹部になると初級幹部では求められなかった問題認識能力や問題解決能力が求められ、レポート作成はまさにこれらを鍛えるものであることを学生に説明しました。また、「海上自衛隊の能力向上につながる研究」という緩い制約の中で各自が興味のあるテーマを自由に選択させることで、学生のモチベーション向上を図りました。
 レポート作成の基礎が欠如する学生に対しては、レポート/論文と作文/感想文の違い、リサーチクエスチョンの設定方法、論理的思考力を鍛える演習、具体的な先行研究の調べ方や論文執筆要領を丁寧に説明しました。
 文章スキルのレベルが異なる学生を同時に指導するため、個別指導を中心とする一方で、他の学生にも指導風景を聴講させ、積極的にコメントさせることで、浦口ゼミ全体としてのレベルアップを図りました。
 また、半年間でレポートを完成させるため、第1回授業でマイルストーンを提示し、5月末までにテーマ選定を、6月末までに思考過程(骨子)を、8月下旬までに本文を一度完成させ、提出期限である9月下旬までの1ヶ月間をかけて余裕をもって推敲できる態勢を取りました。これらの対応をとることで、浦口ゼミでは学生のモチベーション向上とレポートの質の向上に努めていました。
最後に、浦口2佐は「レポート指導には、学生の成長を間近に感じられたり、熱心な指導により冴えなかった学生が突然輝き出す場面に遭遇できるといった教える側の醍醐味もある。指導は大変だが、それ以上に教官もやりがいを感じられる科目というポジティブな捉え方をして欲しい」と参加した教官にエールを送り、発表を締めくくっていました。

       浦口2等海佐の発表景況

2024年05月15日