最近の情勢のもと、国際貢献や平和維持活動などで自衛隊が世界各地に派遣されるケースは今後ますます増えていくものと予想されています。海外には、エボラ出血熱やSARSに代表される危険なウイルスが数多く存在し、また我々が未だ経験したことのない風土病や疫病も広く蔓延しています。さらに、感染症対策は国内においても緊急な課題として取り上げられており、安全、予防、対策といった観点から、基礎から応用に至る研究の重点化が強く求められている状況にあります。
本プロジェクトでは、主に細胞生物学的な手法により、安全性の確保されている実験系を用いて、感染症・バイオテロ関連の感染・発症の作用機序の探索及び、その予防・防止法の開発基盤となる研究を計画しています。特に、創薬の基盤となる技術開発や実用化を目指した研究を重点的に展開する予定です。また、主に有機合成における手法を基礎として、高い立体特異性で不斉化合物を合成できる手段を開発します。さらに研究を通して、化学テロ、生物テロから身を守ることを目指した不斉化合物の合成も計画しています。
感染症対策は、言うまでもなく生物テロや化学テロ対策に直結します。それゆえ、本プロジェクトの成果は感染症等の防止ばかりでなく、国民の安全を守るうえでの取り組みにも広く貢献できると考えています。