海洋は地表のおよそ7割を覆い、世界的な交流・交易の通路として活用され、また漁業・エネルギー・鉱物等の豊かな資源を人類に与えてきました。その一方で、事故や気象による海難や災害に加えて、その資源の豊かさはしばしば国家間紛争の要因ともなり、人類に災いをもたらすこともあります。日本の国土面積は約平方キロメートルで世界第61位に過ぎませんが,その領海・排他的経済水域は約447万平方キロメートルで世界第6位になります.この海域には豊かな漁業資源に加えて、海底には豊富なエネルギー資源や鉱物資源の存在が近年確認されています。また、諸外国との貿易のためにはシーレーンの安定化に加えて、これらを支える沿岸域施設の保護は不可欠です。
海洋安全保障分野の研究目的は、セキュリティ・治安、海洋環境、資源開発、国際的な協力体制の整備・法制など、文理を跨いだ多様なアプローチから海の平和的利用と持続可能な開発を推進することです。具体例としては、セキュリティ・治安では沿岸域重要施設を監視するセキュリティソーナーシステムの開発など、海洋環境では海洋気象や汚染のモニタリングなど、資源開発では探査や採掘技術の確立など、そして、国際的な協力体制・法制については海上テロや海賊行為に対処するための国際協力体制の整備などが挙げられます。当分野では、このような多岐に渡る研究を通じて、国民の安心安全を守る取り組みに広く貢献したいと考えています。