卒業生からのメッセージ

現場で働く自衛官にとっての総合安全保障研究科

一等陸佐 佐藤正 第1期卒業(国際安全保障コース)

佐藤正

防衛大学校(創設当時は保安大学校)は、昭和28年に理工系の大学校として開校されましたが、昭和49年に国際関係論と管理学の文科系コースが開設されました。私は、この文科系の1期(防大22期)生として防衛大学校に入校しました。そして、防衛大学校に総合安全保障研究科が開設された年に、再び1期生として入校する機会を得ました。

総合安全保障研究科の在学間は、授業や修士論文の作成で大変苦労をしましたが、そこで学んだことやお世話になった方々との交流は、その後の自衛官生活で大いに役立っています。

現在、私は鳥取県の米子市に駐屯する米子駐屯地で第8普通科連隊長(駐屯地司令を兼務)という職務に就いています。連隊長・駐屯地司令は、訓練を通じて部隊の戦力を常に高いレベルに維持する責任がありますが、同時に鳥取県における自衛隊の代表者として、地域における防衛基盤の育成を図る責任も持っています。

連隊長に着任した前後に北朝鮮による不審船の騒ぎがあり、また2ヶ月後の5月にはガイドライン関連法が成立しました。山陰地方は、地理的な関係 もあってか防衛問題に対する関心が深く、着任して間もなく県内各地で朝鮮半島情勢やガイドラインに関する講演会や説明会を行う機会がありました。この時、総合安全保障研究科で学んだという経験が大変役立ったことは言うまでもありません。また、研究生活を通じてお世話になった部外の研究者達を当地に招いて講演してもらい、地域の方々に安全保障の一端を理解していただいたのも、総合安全保障研究科で学んだ成果の1つだと思っています。

若く向学心に燃えた後輩諸君、総合安全保障研究科は、修士号取得によるキャリアアップはもちろんのこと、今まで学んだ安全保障に関する知識を自分の中で再整理し、自分なりの安全保障感を身につけ、そして人脈形成を図るという面でも、自衛官生活のターニングポイントとなる場です。より多くの後輩諸君が、総合安全保障研究科にチャレンジすることを心から期待しています。

佐藤正
1953年北海道生まれ。防衛大学校卒(22期生、国際関係論専攻)。普通科連隊(旭川)小隊長・運用訓練幹部、幹部学校(市ヶ谷)指揮幕僚課程学生、内局人事局人事2課等を経て、防衛大学校総合安全保障研究科学生(1997〜1999)。現在第8普通科連隊(米子)連隊長・米子駐屯地司令。

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