卒業生の活躍

総合安全保障研究科 特別研究員

独立行政法人 国際協力機構 武田 真佑子

安保研での二年間

総合安全保障研究科(以下、安保研)に入校した初日、国旗掲揚する際は立ち止まって仰ぎ見るのだと知らず、周囲が立ち止まる中、それを教えていただくまで一人歩き続けるという失敗をしました。このように、初めは右も左も分からない状況で、日常の細かな事にカルチャーショックを受ける毎日でしたが、先生方、先輩方、同期の皆さんに様々な事を教えていただき、思ったより早くその風景になじむことが出来たと思います。

特別研究員制度で安保研に入校するのは毎年1〜2人。経験豊富な自衛官が大多数を占める安保研の中では、学部から直接進学した私は文民という立場も、年齢も、性別も、すべてマイノリティでしたが、それによって何か引け目を感じたことはありません。むしろ、安保研では文民だからこその意見を求められることが多かったように思います。学部時代、安全保障を専門的に学んできたわけでもなく、自衛隊という組織の知識も多くは持ち合わせていませんでしたが、講義の間もそれ以外の時でも、どんな内容の疑問、意見を述べても受け入れてもらえる雰囲気が安保研にはありました。安保研に進学することは「普通」ではないと、ハードルを感じる方もいらっしゃるかもしれません。確かに他の大学院とは違う点がいくつもありますが、教官も同期も安全保障のプロである状況で、安全保障や国際政治について学べた二年間は常に刺激に満ちており、多くの事を学ばせていただきました。


就職活動について

安保研での二年間で最も困難だったのは修士論文の執筆と就職活動の両立でした。安保研の修士論文提出は二年目の10月と、一般的な大学院と比べて早いため、より計画的に論文執筆を進めることが必要です。また、他の大学であるような就職サポートはないため、すべて自分で情報収集をし、就職活動を進めなければなりません。私の場合、論文執筆は遅れがちであった上、就職活動が論文執筆のピークと重なり、つらい時期が続きました。ですが、指導教官からは常にサポートいただき、同期からも暖かく支えていただいたことで、何とか乗り切ることが出来ました。新卒に限定される話ではありますが、安保研卒業後に就職を検討されている方は、就職活動による時間的制約を加味した執筆計画を立てることをお勧めします。


卒業後

安保研卒業後、独立行政法人国際協力機構(JICA)に就職し、南アジア部にてスリランカの港湾分野等を担当しています。JICAが行うODA事業は途上国を対象に様々な開発支援を行うものですが、効果的な支援を行うためには対象国の情勢分析が必要です。安保研で培った安全保障や政治といった視点で物事を分析する姿勢は、現在の仕事に活きています。また、テロ等の脅威が高まっていることを受け、JICAではこれまで以上に安全管理に力をいれています。そのような状況下、地域情勢分析やテロ対策など、安保研で得た知識を活かせるような分野でも経験を積んでいきたいと考えています。


略歴

山形県出身。2014年お茶の水女子大学卒業。2016年防衛大学校総合安全保障研究科前期課程(第18期)卒業、同年、独立行政法人国際協力機構入構。南アジア部にてスリランカを担当。

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