〜派遣成果報告〜米海軍兵学校〜

平成15年11月14日〜28日


庄島 綾子


 平成15年11月14日〜28日までの2週間、私は3学年の男子2名と4学年女子学生1名の計4名で、アメリカ合衆国・アナポリスにある米海軍兵学校(USNA)に短期留学をしてきました。

はじめに

 まず、出発の日から。日本を金曜日の昼過ぎに出たのですが、初の長距離国際線(片道12時間+3時間)でドキドキして、機内で大して睡眠をとらなかったことを非常に後悔しました。というのも、アメリカに降り立っても時差の関係で同じ日の昼下がり。金曜の課業後なので、当然のようにUSNAの学生に連れられて街へ繰り出し、アナポリス市内を引きずり回されました。あげくに、映画を観るとかで、公開初日だったラッセル・クロウ主演の映画を・・・もちろん字幕無し+睡魔の誘い。結果は火を見るより明らかです。結局、到着した日は現地時間の夜中の1時まで連れ回される羽目に・・・。

 対番が各人に一人付いてくれたのですが、その子は飛び級制度を利用した20歳の4年生。同じHumanities選択で、彼女は歴史を専門にしていました。特に軍隊や国防についてそれほど「熱い」考えを持っているわけではなく、職業選択の一つだと考えているような印象を受け、従って、年下にも関わらずドライで大人っぽく感じました。(もちろん英語で会話をして得た情報です。私の稚拙な英語にも彼女は丁寧に応対してくれました。やっぱり頑張って伝えようと思えば何とかなるものです。)

1 平日

 留学期間中、平日は対番学生に付き添って授業に参加し、課外時間外は学生舎で他の士官候補生とともに生活し、クラブ活動にも参加しました。ここでは(1)授業(2)学生舎生活(3)クラブ活動(4)その他についてふれたいと思います。

(1) 授業

授業は50分授業×AM4時間+50分授業×PM2時間。一番強く感じたのは、教官と学生の熱意がぶつかり合っているということです。教官も、自分の研究は二の次で学生に教育することを第一に考えている人ばかりで、短い授業の中でもポイントを押さえた理解しやすい内容でした。その分、学生たちの興味関心を惹き、積極的に挙手をして発言する学生が印象的でした。50分という短さのせいか、寝ている学生もいるにはいましたが少なく、授業中の飲食許可で自分たちの体調に合わせ自由に授業中の気分転換・集中力向上を図っていました。

 日本語を選択しているクラスにも参加しましたが、一生懸命に取り組んでいました。動詞の活用を履修中で、きれいな言葉遣いで話すので、USNAの学生がより一層礼儀正しい人に見えました(余談ですが、男子学生はみんな大人で紳士・・・)。

(2) 学生舎生活

 2週間のあいだは、対番学生の部屋に居候する身でした。部屋は2〜4人部屋で同じ学年どうし。高架ベッドの下に机とロッカーがある省スペース型の部屋で、机に写真を飾ったりステッカーを貼ったり、それぞれ個性を出して自分なりの城を築いていました。毎週の大掃除点検などはなく雑然として、割と生活感にあふれた空間でした。各部屋にシャワーブースがあり、24時間お湯が出て、好きなときにシャワーが浴びられる、という設備の良さでした。

 対番の所属する中隊の点呼に毎日参加しましたが、Freshmenはやはり洋の東西を問わずどこも一緒。Plebe(「奴隷」)と呼ばれながらも非常にぴりぴりっとしていて、上級生に質問をされたら正対して受け答えをする、語尾には必ずSir (or Ma'am)をつけていたし、階段も廊下も、絵に描いたように90度に、常に駆け足で曲がっていました。反対に、上級生になるにつれて点呼中もおしゃべりしたり壁により掛かったり。防大に置き換えて考えても十分に考えさせられる光景でした。
 右の写真は、学生舎の点呼の様子です。

(3) クラブ活動

対番の所属するラクロス部に参加しました。オフシーズンだとかで実際にラクロスのスティックは持たせてもらえませんでしたが、かわりに行き先も示されないままガンガン走らされました。「もうこれ以上はついて行けない!」と思ったころにようやく止まって、そのあと登り坂ダッシュを何十本も・・・終わりが示されない練習ほどきついものはありません。そのあとは出発点までジョグで戻り、また腹筋運動を延々と・・・何はともあれ、アメリカ人は強いと実感。

 別な日に朝練にも参加しました。朝5時起きでジョギング。特に私の対番は負けず嫌いな性格のようで、かなり飛ばすので大変でした。朝からこんなにテンションの高い集団は、前代未聞です。。。

(4) その他

 校内の施設は非常に充実していました。デパートのような品揃えの学生会館に体育館、アメフト場、サッカー場、ラグビー場・・・広大な敷地にスケートリンクや大きな駐車場もあり4年生は校内に駐車が許可されていました。また教会もあり、毎週礼拝が行われるそうです(左の写真)。建物自体も非常に重厚感があって、それぞれ歴代の有名な軍人の名前が建物に付いていました(たとえば学生食堂は「King's Hall」というように)。防大なら「東郷食堂」なんて感じになるのかしらなどと思いつつ・・・。食堂は、いわゆる「ジャンクフード」といったかたちの、食事でした。ハンバーガーやドーナツなどでボリュームだけは満点でしたが。

 留学期間中はいわゆるアカデミックシーズンだったので、海上防衛学の座学の授業のみがありました。ちょうど航海学の授業で、海上自衛官のUSNA連絡官の方(3佐)が教鞭を執られていました。防大の紹介ビデオを授業中に放映したら学生は興味深そうに真剣に観ていましたが、日朝点呼の上半身裸の号令調整に衝撃を受けているようで、「これを毎日やってるの??」と本当に驚いていました。訓練らしい訓練は、夏の定期訓練で集中的に実施するカリキュラムになっているそうです。

2 校外研修

(1) ノーフォーク海軍基地研修

研修では、先ほど登場された海上自衛官のUSNA連絡官の方に非常にお世話になりました。ノーフォーク海軍基地はアメリカ1,2位の広さを誇る海軍基地で、アナポリスから南に4時間ほど車で下ったところにあります。ここでは軍事協力している民間の輸送艦を2つ見学させて頂きました。何もかもが大きい!船長も・・・。見学したのは甲板の下に7層のスペースのある輸送艦で、実際にイラク沖に荷物を集積した実績を持つそうで、船長の説明からは自信からくるアメリカ人らしさが見え隠れしていました。他には、基地内を見学させてもらい、原子力潜水艦や着水したばかりの新空母(レーガン?)を眺めることができました。

(2) 大使館表敬訪問

日本大使館の表敬訪問では、防衛駐在武官の方と夕食をかねてお話をする機会があり非常にためになるお話を伺うことができました。ちょうど和食が恋しくなる時期だったので、格別に嬉しかったです。また、旧日本大使館も見学させてもらうことができ、かの有名なタイピングライターを前に、バッチリ写真に納めてきました。

(3) 市内研修

ワシントン地区と、ニューヨークの研修をしました。感想は・・・書ききれないくらい楽しかったです。「校内と校外の研修、どっちがメインなの?」と言われかねないので割愛します。興味を持った方は直接聞いてください・・・♪

 おわりに

   今回の派遣を通じて、防大を離れてアメリカから防大を見ることが来ました。そして、よいところ、改善した方がいいと思うところ、両方が見えてきました。今後は、残り少ない防大生活ですが、後輩のためにもこの貴重な体験を学生舎の方に還元していけたらと思っています。


人間文化学科ホームへ戻る