人間文化学科の教官の素顔を紹介すべく学生によるインタビューが決行されることとなった。第一回目は我が学科が誇る人気教官、 川崎有三教授である。川崎先生の飄々とした立ち居振舞いや教養溢れる雑談、そして勿論、文化人類学という学問に対して興味を もっていた私は教官にインタビューする機会があると聞き、このチャンスに飛びついた。川崎先生は異色の経歴の持ち主で大学は東大!の工学部のご出身である。化学工学を専攻し公害・環境問題に取り組んでいた。 学生時代には水俣湾の水銀の調査に出かけたりしているのだ。
「ではなぜ今、文化人類学の教授なのだ?!」
という疑問が湧いてきた。 大学の四年になり同期たちは次々に一流企業への内定を獲得しているころ、川崎先生は大学院へ行くための勉強をしていた、 文化人類学を学ぶために!しかもすんなり東大!の大学院に合格してしまう。我々凡人には計り知れない出来事もあるのです。 実は先生は高校のころから文化人類学に興味をお持ちで関連の図書を次々と読破されていたのだ。
その後、修士課程を修了した先生は、 「調査の対象に自分は一体どのような貢献が出来るのか」という疑問に突き当たり、博士課程には進まず、 「地方自治体の行政計画を立てるのを手助けする会社」に就職する、がやっぱりつまらなくなって一年後には再び大学に戻り、 博士課程でマレーシアに二年間のフィールドワークへと旅立つ。「その後はさすがに真面目に文化人類学やってます。」という感じで 現在に至っている。マレーシアでの二年間
博士課程の論文を書くため二年間、マレーシアのS村に滞在された。S村は大戦中に移り住んだ華僑の漁村である。S村とは最近授業で取り上げられているあのS村である。マレーシアはマレー人と華僑とインド人が共存している国家である。マレー人が豊かな大地の恵みを受けてのーんびりと暮らしている所に錫の鉱山の労働者として入ってきた中国人とインド人がその商才を発揮させて近代化を進めて、できあがった国家である。のんびり屋のマレー人のために憲法でマレー人の優遇政策まで宣言しているちょっと変わった国なのです。S村では小学校に滞在され、フィールドワークに没頭する日々を送られました。文化人類学の魅力とは?
私「文化人類学の授業では未開社会中心に講義が進められていますが、研究が進めば進むだけもともと微小な研究対象は減少していく わけで、さらに未開社会自体も現代社会に席巻され、その特徴が失われてしまい、いわゆるグローバル化し画一化していくのでは?」
教官「確かに未開社会は減ってきているし、調査の対象も限られている。フィールドワークを受け入れてくれる社会も限定されている。 しかしいくら現代文明が入り込んできても、変わらない部分があるのです。例えば宗教であったり、家族関係であったり・・・。 他の文化をどう理解するか、それを知るために文化の研究が尽きることはないんです。」「防大の学生に対して何かひとこと」
忙しいとは思うんですけど本を読んでください。それも授業とは関係のない本を。ここでの生活では視野が狭くなりがちなので、 自分のバックグラウンドを築く為にも。
私「最後に、誰か芸能人に似ていると言われたことはありますか?」
教官「えー、・・・誰だっけ、あのキャスターで朝にラジオとかやってて。メガネかけてて・・・。」
一同「そう、生島ヒロシ!」
と言う感じでオチもついた所でインタビューを終えました。 我々の無知でかなり失礼な質問にもあきれることなく丁寧に答えていただきました。ぶあつい本で埋もれそうな研究室の中、川崎先生のさりげない大人のダンディズムに我々は引き込まれてしまい、ついメモをとるのを忘れる始末でした。というわけで今後の授業がますます楽しみな川崎教官のインタビューのレポートを終わります。