防大に来られて13年、現在ではドイツ語の唯一の教官、家では2児の父、最近はジョギ ング・自転車での遠出が趣味という木村教官にインタビューをしてきました! ―まず、ドイツ語との出会いを教えてください。 「 一昨年、編纂した教科書がまさに『ドイツ語との出会い』という表題なのですが、ま ぁ何かの特定の対象との出会いと言っても、人それぞれですから。自分で選んでおいて、 その時の思いつきと言えば身も蓋もないのですが…。ただ、ヨーロッパを勉強するなら、 ドイツだ、と思っていました。特にこの国の文化、ドイツが歴史の中で培ってきた文学、 思想、哲学の壮大なスケールには興味がありました。何よりドイツ語の響きも好きでした。 実に魅力的な響きです。 いずれにせよ今風に言えば、広く異文化理解への関心でしょう。どんな対象に向き合 うにせよ、入り口は広く考えた方がよいと思います。時間とともに関心も変わるし、素晴 らしい先生に出会えることもある。その中で自ずと出口が見えてくる。つまり、対象も絞 れてくるのではないでしょうか。 というわけで、私の場合も広くドイツという入り口から入って、専門は文学・思想、 特にドイツ近代文学・思想に見据えることができました。 その意味では、学生には何よりも読書を勧めます。多読・濫読でよいと思います。必 ず、面白いものや関心の持てるものに出会えます。大袈裟に言えば、案外それが後々の生 活に大きな影響を及ぼすかもしれません。」 ―異文化理解についてお聞かせください。 「 異文化を知るとは、理屈っぽく言えば、その言語の発音はもちろんのこと(言語圏の) 歴史・思想・文学芸術、いわゆる広く「背景」を探って理解すること。プラスαを知るに は自己の体験を通じて肉付けができるのではないでしょうか。 早いもので17年前になりますが、丁度東西ドイツが統一した時にドイツにしばらく の間いました。その意味では、格好良く言えば歴史ある種『生き証人』ですが、その時個 人的に一つだけ嫌な思い出があります。大学からの帰り道に横に車が止まったかと思った ら、その瞬間『外国人出て行け!』と叫ばれました。同時に何やら物体、卵(!?)が目 の前を通過。幸い命中しなかったから良かったけど…向こうも意識的に外してくれた気も するけれども、何とも後味の悪いものでした。 丁度、外国人とか外国人労働者をめぐる問題が再燃しつつあった時期だけに、運悪く 外国人の増加を快く思わない一部の人のフラストレーションのはけ口になったのかもしれ ません。でも冷静に考えれば、この国が抱える問題の一端を直接垣間見たような…その意 味では貴重な体験ではあります。こうした体験なども通して、それぞれの独自の異文化論 というものが語れるのでしょう。」 ―学生に一言お願いします。 「 一言希望というか、希望を言わせてもらえば、学生は何か授業が受け身のように感じ られます。疲れているのも分かるけど、もっと元気を出していこうよ。あと10年もすれば、 勉強したくてもできない程に多忙を極めるかもしれないよ。今できることは今のうちに。 何も『ドイツ語だけ頑張れ!』なんて野暮なことは言いません。幅広く、色んなことにチ ャレンジしてください。 それと、若い時は勉強も訓練も大切だけど、お金と余裕があれば旅行をしましょう。 温泉もいいけど、『辞書を片手にヨーロッパとかアジア各国!』というのも理屈を越えた経 験が身に付きますよ。」 ―今日はどうもありがとうございました。元気出して頑張ります。 40代になって体力が落ちてきたとおっしゃっていた木村教官…インタビューをした日も 歯・腰痛の治療の最中でした。奥さんや2人のお嬢さんにも「大丈夫?」と心配されるそ うです。学生ももちろん心配していますよ!お大事に!そしてこれからもよろしくお願い します! (田中真紀子)