(若松忠司、波賀崇志、杉山弥生)
4月25日、野々瀬教官室でインタビューを行った。前日の授業(宗教社会史)の話から入ったのだが、 野々瀬教官はしきりに「恥ずかしいなあ」と口にされていた。
若松学生の一言、「神を信じますか」 から本題に入る。
野々瀬教官:私自身は内村鑑三の流れをくむキリスト教徒なのですが、母方がそれで、父方の祖父が真言宗だったんですよ。父は無宗教です。子供のころは祖父母と同居していたんで、朝は神棚にパチパチやって拝んで、夜はアーメンでした。ですから家の中がある意味では異文化コミュニケーションでした。私たちが祖父母と別居しだしてからは、母親の影響が強くなりました。今でも日曜日には礼拝に行っていますよ。私の属する無教会はカトリックよりはプロテスタントに近いと思います。以前は多くの日本を代表するような文学者や学者なども関わっていて、活況を呈していたのですが、現在はその人口が減ってしまいました
杉山(左写真):無教会とは?
野々瀬教官:(難解な神学論を述べることはできないので、高校の倫理の教科書に載っている程度の内容に限定します。)教会という建物がなく、ただ日曜日に集って皆で礼拝をします。聖職者がいないので、牧師の説教というものもありません。お墓も何でもいいんです。特に形式も何もない。日本オリジナルの宗教です。儀式がないから、毎週聖書講義が礼拝になっています。無教会で大切にしているのは聖書を読むことです。高校時代には、私はしばしばキリスト教に反抗したこともありました。私の場合、父方と母方との間の微妙な宗教や生活慣習の相違が研究の動機の一つになっていて、その意味では熱烈な神学者タイプではないと思います。キリスト教に対してある意味では少しさめた目をもっているから、歴史研究ができるのかなと思います。自分の宗教や価値観に不都合なことが出てきても、それを事実と認めるのが歴史家ですから。
若松:いつ頃から歴史学を勉強しようと思われたのですか? 消しゴムに水滸伝の登場人物の名前をすべて書いているという話も聞いているのですが。
野々瀬教官:(消しゴムを探されていましたが見つかりませんでした) 子供のころから歴史が大好きでした。消しゴムには水滸伝の盗賊108人全員の名前を書いていて、お経みたいになっています。三国志、水滸伝なんかが好きでした。李白、杜甫とか史記、論語も読んでいました。あと高校の時はシェイクスピアにかぶれたかな。もうまったく読まなくなったけど。悩み事があるときに読むといいですよ。太平記や平家物語、信長は若いころ好きでした。源氏より平家の方が好きで、「滅びの美学」というのがいいですね。
杉山:いきなりですが、奥様との馴れ初めは?
![]()
野々瀬教官:私の妻はヴァイオリニストで、あるプロのオーケストラでコンサートマスターをしています。お互いスイス連邦政府からの給費奨学生で、留学時代は単なる知り合いといった感じでした。帰国して6,7年してからコンサートに招かれたのがきっかけです。学者は理性の世界で生きていますけど、芸術家は感情で生きていますからね。自分の感性に合わないものは受けつけない。まったく正反対の世界です。
若松(左写真):では、結婚の話が出たということで幸福論についてお願いします。
野々瀬教官:経済的、物質的に豊かだとか、社会的地位が高いとかとは別に、自分が生きがいと感じられる仕事があるかどうかではないでしょうか。人生の目的があるかないかが大切だと思います。
若松:最後に学生への要望事項をお願いします。
野々瀬教官:よく遊びよく学んで欲しいですね。社会に出たら、自分の予想していたのとは全然逆の事に直面することが多いけど、動揺せず客観的に分析し対処できる合理的能力を身につけ、物事に対して疑いの目を持って自力で批判的に考える学生になって欲しい。あと、自衛隊の中で自分の生きがいとなる職を見つけて欲しい。今はそのための準備期間かなと思っているんだけど。自分の特色、他人に絶対負けない専門技術を身に付ける下地を大学4年間で作って欲しい。専門的な技術をもっている人間は強いです。どんな状況になっても、技術は尊重されるから。
照れながらインタビューに答えていただきました。ちなみに
「恥ずかしいなあ・・・」 はインタビュー中7回 も出ました。紙面の都合上ここに載せることのできなかった話もたくさんあるのが残念です。
野々瀬教官ご協力ありがとうございました。

左から、インタビュワ−:杉山弥生、野々瀬教官、インタビュワ−:若松忠司、波賀崇志