読売新聞社見学

平成16年2月18日


浅井健太郎


 「今頃学校ではみんな、忙しくしているのだろうなあ。それにしてもこのあたりはなんて静かなこと」

 いつものように佐原インターから高速に入り、研修先である読売新聞本社のある東京大手町へと向う。防大生活最後の校外研修であるためか、バスの中はにぎやかである。特に後部の男子は異様な盛り上がりをみせている。騒ぐのもまたよし。しかし私は一人、窓の外へ視線を送る。実は毎度の校外研修において、この移動間のバスからの景色を眺めるのが、私は大好きなのである。特にこの佐原、大黒間の景色は自然も多く、防大ではなかなか味わえない季節感を教えてくれる。その季節の移り変わりは、同時に「もう、卒業か」という気持ちも芽生えさせた。
 というのも、研修集合のときの出来事があったからであろう。都合によりバスの出発が遅れるとの連絡が入り、その間「マインドマップ」という冊子を編纂することとなった。これは井上教官によって発案がなされたもので、学科の仲間のプロフィール等が掲載されており、おもしろおかしくて、なかなか読ませるものがあり、しばし見入ってしまった。これによって、皆もこれまでの校外研修とは異なる気持ちで、本研修に臨んだのではないだろうか。

 さて、そんな暢気な考えで景色をぼんやり見ているうちに眠ってしまった私が起きると、バスは読売新聞本社前である。出発が予定より遅れたため、見学の中止が懸念されたが、杞憂に終わり一同ほっとする。1030万部を超える世界最大部数の高級大衆紙である「読売新聞」を誇るこの本社に入らんとする私の気持ちは高まった。なぜなら、私は某大学新聞学部を受験、一時期本気で新聞記者を目指していた人間であったからである。諸所の事情で防衛大学へ入校することとなったが、もしかしたらこの会社へ通う自分があったかもしれないと思うと複雑な気分が襲ってくる。
 案内人に誘われ、まずは社内説明会室で記念撮影。マスコミの中核であるためにさすがに手際がいい。周りには古いカメラがいろいろと陳列されており、マニア心をくすぐらせる。次にビデオを見ながら、読売新聞社の説明を聞く。
 その後は実際に社内見学。校正等の現場を見たり、高速輪転機等が動いている地下の工場を見る。売り上げは一番の会社でも高速輪転機等の機械は一世代前のものだそうで、近々最新機械を導入した新工場を建設するそうだ。帰り際に先ほど撮ってもらった写真入りの、新聞に似せた下敷き(下の写真)を戴く。このスピード。新聞売り上げが日本一である会社の面目躍如の感、強烈に伝わる。

 見学終了後、サンケイビルB2で昼食をとり、その後の自由時間を各々満喫したのち、帰路へつく。皆疲れたのか、帰りは静かに眠っている。しかし、郊外研修のたびにお世話になった大黒埠頭の休憩所に着くと、元気を取り戻して食料調達に出かけるものもいる。その面子がいつもと変わっていないのに気付くと、おもわず、笑ってしまう。そして、ここで感じる「もうすぐ学校だ」という気持ちはなお変わっていないのである。



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