●森の中にアーカイブあらわる●
昨年末にアーカイブを訪れたのは、
観光をかねた下見といった感じです。
1日目はワシントンDCにあるアーカイブⅠにいってしまい、
何もできませんでした。
しかしそこのコンサルタントの方はとても親切で、
アーカイブⅡの位置をていねいに教えてくれました。
気を取り直して翌日、
アーカイブⅠの前から出発する専用バスに揺られて、
ワシントン郊外メリーランドにあるアーカイブⅡへ。
その建物は、森にかこまれた静かな場所に突如として現れました。
外観は真っ白で、ひっそりと、しかしながら、
とても堂々とした近代的な建物でした。
中に入って入館手続きをし、いざ、お目当てのフロアーへ。
今回は、私が読んでいたMarc Tranchenbergの著書 A Constracted Peace
の中に出てくる1次資料のうち、とくに1940年代後半の
アメリカの脅威認識に関する資料を探しに行きました。
ペーパーの資料を扱う3階へ。
書類用の閲覧室は窓際が全面ガラス張りで、広々としています。
机が整然と並び、冬の木漏れ日をふんだんに採り込んだその部屋は
とても明るい。書類に囲まれた陰気くさいところだろう、
という私が抱いていたイメージとは全く異なった空間でした。
●資料への長い道のり●
年末ということもあり、利用者の数は多くありませんでした。
10人といったところでしょうか。
学生、ジャーナリスト風の方々などさまざまでした。
日本から来ていると見られる方も数人いらっしゃいました。
書類は大きく「civil」または「military」に別れています。
受付に行き、自分が探している書類の種類を告げると、
「military」のコンサルタントのところへ案内されました。
このとき、ドアを通るためにパスカードをわたされます。
このドアは電子ロックがかかるかなり重いドアで、
否応なしに臨場感が高まります。
ドアを開けるとその向こうには無数の部屋が……。
そのうちのひとつが、「military」に関する
アーキビストたちがいるお部屋です。
受付で秘書の方に探している書類について告げると、
しばらくして私の探す情報に合ったアーキビストが出てきてくれます。
彼らはみなとても親切で、
私の下手な英語に最後までつき合って下さったうえ、
書類の作成まで手伝ってくれました。
その書類を持って閲覧室へ戻ります。
ドアの前で、入ったときと同じようにパスを使ってドアを開けます。
そのあたりのセキュリティ管理はさすがです。
●ついに「top secret」入手●
閲覧室の受付で書類を提出し、
書類受け取りの時刻(決まっています)まで待ちます。
書類はすべて同じ大きさのボックスに入っていて、
中は書類ひとつひとつがファイルで整理されています。
請求した書類は、もとは「top secret」でしたが、
「unclassified」になり、公開されたものでした。書類を開き、
「top secret」のスタンプが押されているのを見たときは、
秘密を見られることに妙に優越感を覚えました。
「おおっ」と思いましたね。
コピーにも工夫が施されています。
マスターとコピーを識別できるよう、
コピー用紙が不定形になっています。
それとコピーした紙には、はじっこに小さく
「archive national」の文字が印刷されます。
小さなことですが、文章を保存する工夫が、
こんなところにまで及んでるのだな、と感心しました。
今回とってきた資料はざっと300枚程度。
効率よく資料を集めるためには、あらかじめインターネットの
「National Archives and Records Administration」のページ
を使って予約をするとよいようです。
使い慣れているな、と思われる人はみなそうしていらっしゃいました。