陸上自衛隊では、毎年海外の軍学校や一般大学へ留学生を派遣しています。
このうち米国の文系大学院(修士課程)へは
これまで毎年1~2名ずつの幹部自衛官が
ハーバード大のほかにタフツ大、コロンビア大等に派遣されています。
湯下兼太郎2尉
日本人が米国の大学院に出願するにあたって、
まず関門になるのが、TOEFL等の試験といえるでしょう。
TOEFL(Test of English as a Foreign Language)は
米国の大学院等での勉強に必要な英語能力を測定するための試験で、
米国の教育試験研究機関ETS(Educational Testing Service)
によって実施されています。
多くの大学院が英語を母国語としない出願者に受験を要求しており、
わが国では毎年約10万人の受験者がいます。
これまではマークシート式の試験が毎月1回ずつ行われていましたが、
今年10月からはコンピューター方式に移行する予定です
(既に実施されている国もあります)。
更にTOEFLに加え、大学院によっては
GMAT(Graduate Management Admissions Test)等の学力測定試験の
受験を要求するところもあります。
大学院での勉強に必要な英語力が求められるため、
私も多くの受験者と同様に当初は点数に伸び悩みました。
しかし、何とか乗り越えることができたのは、防衛大学校や、
陸自の英語課程等での教育のお陰だと今更ながらに痛感しています。
TOEFLやGREと並んで重要なのが、
これまでの職務経験やこれからのビジョンを述べる小論文と、
学部時代の恩師や職場の上司等からいただく推薦状です。
平成7年に防大を卒業して以来、
熊本の第42普通科連隊で勤務してきた私は、
第一線部隊の小銃小隊長としての様々な経験をもとに、
小論文を作成しました。
また、推薦状では、防大時代や幹部自衛官としての勤務を通じ、
様々な角度から私を評価していただきました。
今回、世界中からの多種多様なバックグラウンドを持つ
出願者の中で合格することができたのは、
私のみならず同期や先輩後輩を含めた自衛隊の初級幹部としての経験、
ひいては自衛隊そのものが、
世界の中で評価されたことの表れと自負しております。
入学後は、わが国の重要なパートナーである
米国について様々な視点から学ぶとともに、
各国からの留学生との交流を通じ、
世界の様々なことを吸収しようと思います。
同時に、陸上自衛隊の初級幹部として、かつ1人の日本人として、
わが国に対するより一層の理解を得られるよう、
微力ながら努めていきたいと思います。
最後に、この場をお借りして、
今回の留学にあたりご尽力いただいた陸上幕僚監部
その他機関の関係各位、西原正学校長をはじめ
防衛大学校の教官・職員各位、
いつも応援いただいた総合安全保障研究科の皆様や、
これまでの上司・教官・同僚・同期の皆様、両親、
そしていつも励ましてくれた妻に感謝の言葉を申し上げ、
結びと致します。