SECMの原理

微小電極を金属等の導電性の基板に近接させたとき,微小電極上で起こる電子移動反応と逆の反応が基板上で起こるため,微小電極を流れる電流は距離が近づくにつれ増加します.

絶縁性の基板に近接させたときは,基板上でこのような電子移動反応は起こらず,反応種の拡散が妨げられるので,微小電極を流れる電流は距離が近づくにつれ減少します.微小電極を流れる電流は基板と電極の距離と基板上での電子移動速度に依存するため,距離がわかれば基板上で起こる電子移動反応の速度を知ることができます.

また,基板に沿って電極を走査すれば,電気化学的に活性な部分の分布を画像化することができます.

フェロセンアンモニウム溶液中で,直径10ミクロンの微小白金電極を白金およびガラスに近接させたときの距離と電流値の関係は以下のグラフのようになります.実線は実験値,丸印はデジタルシミュレーションにより計算した理論値です.実験値とよく一致しているのがわかります.

下図はフェロセンアンモニウム溶液中で直径100ミクロンの白金ディスク電極上を走査して得られたSECM像です.白金の部分の電流が大きくなっています.