シアフォース制御

市販の圧電ブザーに使われている圧電素子を適当な大きさに切り取った後,時計用の音さ型水晶振動子(共振周波数 32 kHz)を取り付け,水晶振動子の先端に微小電極を接着してシアフォース用探針を作成します.水晶振動子の共振周波数で圧電素子に0.01〜00.2 Vの交流電圧を印加すると,水晶振動子が振動し,1 mV程度の信号が出力さます.これをロックインアンプで増幅して振幅を取り出します.探針先端が基板に近接すると摩擦力が働き,水晶振動子の振幅が減衰し,基板に近接したことがわかります.

下図は自作した探針の写真です.

フィードバックモード

水晶振動子の振幅の減衰が一定になるようフィードバックをかけて探針を上下させながら水平方向に走査します.シアフォースを使った走査型プローブ顕微鏡で一般に用いられている制御方法です.

 

スタンディングアプローチ(STA)モード

水平方向の動きを停止した状態で探針を基板に近接させます.水晶振動子の振幅が減衰(1〜2%)したら電流測定し,探針と基板との接触を避けるため,2ミクロン程度離します.水平方向に移動し,次のポイントを測定します.これを繰り返すことによりSECM像を測定します.基板上に固定した分子等のモルホロジーを壊すことなく像を得ることができます.

探針の垂直方向の移動はピエゾ素子を使ってナノメーターオーダーで制御しています.下図はピエゾ素子に印加する電圧の時間変化を模式的に表わしたものです.aで基準となる水晶振動子の電圧を測定し,bで探針を0.1ミクロン/sの速度で近接させます.cで0.1〜0.3ミクロン上に上げて電流を測定し,dで探針を2ミクロン上に上げた後,水平方向に移動させます.

下図は白金スパッタ膜をフォトリソグラフィーによりパターンを形成した電極の顕微鏡写真です.白金膜の厚さは約150ナノメートルです.

 

以下は,上の図の点線および実線囲った部分をSTAモードで走査した際の形状イメージと電流イメージです.

形状イメージ

電流イメージ