なんで勉強するの?

なぜ勉強するのか考えたことがあるでしょうか。 以下は私の主観です。皆さんは皆さんなりに考えてみてください。

なお、この文章は色んなことを知ったり勉強したりすることが楽しい人の向け文章ではないので、学問的な楽しさの記述はありません。


教養としての知識

ある作家の対談の中で次のような会話がありました(とてもうろ覚えです)。

作家S:二次方程式の解の公式なんか勉強する必要がない。 今まで使ったことがない。
作家I:バカ言うんじゃない。 その知識・勉強した経験があるからあんたの作品があるんだ。

皆さんはどちらの考えに賛同するでしょうか。

極端な例を考えてみましょう。 科学が無かった昔を想像しましょう。 自然界で起こる諸現象の原因を神様のせいにし、 それ以上考えることをやめていました (神様の物語は考えました)。 これはとても単純な思考と思えませんか。 単純な思考から複雑なものを作り出せると思えますか。 そう考えると、少しでも多くの知識があると その分深く物事を考えることができるようになる気がしませんか。

別の例にしましょう。 なぜ雨ごいが世界各地で行われていたか説明できますか。 直感的に「雨ごいなんかに効果があるはずない」としか主張できない人は、 「雨ごいには効果がある」と信じている人と 何一つ変わりません。両者ともに科学的説明が全くないからです。 雨ごいを行っても雨が降るわけではないことを 客観的に示せないと人は納得しません (妄信している人には何を説明しても分かって頂けないとは思いますが)。 「検定」という概念を少しでも知っていれば、 説明はだれでもつけられると思います。

残念ながら、雨ごいと大して変わらない話はそこら中で見聞きします。 ネット上にあふれています。 まともな知識があれば何がおかしいのか見抜くことができます。 瞬時に真偽が分からなくても、何を調べれば真偽を確かめられるのか 思いつくことができます。 うさん臭い話を信じる痛い大人にならないためにも ある程度の知識は必要ではないでしょうか。


必要な知識

以下は各学年で身についけていただきたい内容です。これも私の主観です。

学部レベル: ある問題・・・現代版の雨ごい問題など・・・に 出くわしても自分で解決できる能力を 身につけてもらいたいです。 普通に勉強していれば、 一定以上の知識量や勉強の仕方が身につくので、 自分が全く知らない問題に出くわしても その問題にどう対応してよいのか分かるようになります。 もちろん、一夜漬けのテスト勉強しか行っていないので あれば身につかないと思います。 言われたことだけやるのではなく、 自分で考えて勉強したのであれば、と限定した話です。

修士レベル: 2年間みっちり研究すると、 人を説得させることができる結果を出したり、 人を説得させるに十分な文章を書けるようになるはずです。 実はどちらも意外と難しいのです。 修士の学位はこれを確実に身に着けるために あるのではないかと思っています。 研究テーマはこれを身につけるための 例題と思っています。

博士レベル: 皆さんは後のち特注品を扱うようになります。 特注品は一家に一台の製品とは異なり、 予期しない不具合が生じることが多いです。 開発者はその不具合を知っていても黙っている場合もありますし (納期に間に合わせるため)、 開発者も全く予期しない不具合であることもあるでしょう。 予期しない不具合を洗い出すことは相応の知識と労力が必要です。 その道に精通した開発者さえ気が付かない不具合であれば、 見つけることはムチャクチャ困難と思います。 博士取得の経験があれば、 そんなことにも立ち向かえると思います。

知識があればあるほど 問題が起きた時に対応ができるようになります。 知識は一朝一夕で身につくものではありませんので、 必要になってからでは遅いです。 知識はかさばらないし。


とは言っても・・・

とはいえ、テスト対策などの勉強はつまんないですよねぇ。 なぜつまらないのか、、、 おそらく、それは「やらされてると感じているから」です。 その教科をなぜ勉強しているのか、先生に聞いてみてください。 学部の科目であれば、応用例が莫大にあります。 応用例がありすぎて、授業でそれらを紹介するのが困るくらいです。

特に学部1-2年生で習う基礎科目は、 日曜大工に例えると「ねじ」や「のこぎり」のような 基本中の基本の存在です。 ホームセンターのねじ売り場で、 わざわざ「ねじ」の用途についての説明書きないですよね。 基礎科目とは、 知ってて当たり前で知らないとどうしようもない知識の塊です。

ねじの用途を知らずに ねじの種類や規格*を覚えようとしても、 頭に入らないのは容易に想像ができます。 疑問に思ったら聞く、 これが当たり前にできるのは学生さんの特権です。

* ミリ、インチ、逆ネジ、なんてかわいいものです。

私は高校生の時、 高校数学は「高校で数学の先生をする人しか 必要ではないのでは?」と思ったことがありました。 若造でした。


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