シミュレーション屋のためのOpenGL入門 (はじめに)

シミュレーション屋のためのOpenGL入門

はじめに

1999.7.7

シミュレーションをやっている人間にとって結果をどのように見るか(見せるか) ということは重要な問題です。 美しい映像で結果表示をしたいのですが、そういうことは私達の本来の研究とは 違います(専門家にやってもらいたいところであるが、貧乏な研究室では望むべくもないこと)。 なるべく手間をかけずに説得力のある絵を描きたいという欲求は シミュレーションをやったことのある人なら誰でも思うことでしょう。

世の中にはそういうことが比較的簡単に実現できるソフトウェアも存在します (A○SとかExpl○rlerとか)。 しかし、それらは高い! ソフトウェアごときに貴重な(希少な)研究費は使えません(メーカさん、ごめんなさい。私達は非営利目的で研究しています)。 ということで、自給自足してしまいましょう!

でも、一から十まで自分で作るのは荷が重いです。 餅は餅屋に任せて、標準的な汎用ソフトを使って絵を描き、 アニメーションをするべきです。 そこで目を付けたのがOpenGLです。 OpenGL(とそれが動くワークステーション)は高価で購入できませんが、 幸いなことにMesa3DというOpenGL互換のフリーソフトがあります。 ありがたいことです (以下の文章でOpenGLと書いている部分はMesa3Dのことだと思って下さい)。

OpenGLの解説書も沢山(ではないですが)出回っています。 しかし、それが全然分からないのです(コンピュータ関係のマニュアルには良くあることですが)。 きっと対象としているのが私達「科学者」ではなくて「芸術家」なのでしょう。 そこで、この文書ではシミュレーションをやっている人が結果を表示するのに必要な 最低限の技法をまとめてみました。 とはいえ、これは私が自分で勉強し使った方法をその都度メモして行っている ものですので、キチンとしたマニュアルも同時に読むことをお勧めします (私が読んだ限りでは「青本」以外は買う価値はないです)。 間違えを指摘して下さるのは大歓迎です。 先に述べましたように私は専門家ではないので、質問をされてもお答えできるかどうかは分かりません。

上図はOpenGL (Mesa3D)を使って描いたシミュレーションの結果の一例です。 陰影を付けたり、見る角度を変えるというようなことはOpenGLがやってくれます。
OpenGLで描いた絵から作ったアニメーションを作成しました([アニメその1][アニメその2])。 このアニメーションはOpenGLの機能を使って作ったものではありませんが、 OpenGLを使って同様のアニメーションをすることができます。 しかし、残念ながらアニメーションをファイルに落すことはできません。 mpegアニメーションの作り方は別の場所で説明します。


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岩瀬康行( iwase@sci.hiroshima-u.ac.jp)