機械システム工学科

 海洋工学講座

 



  
 

    ■ 研究例 5 : スラミングの水面衝撃解析

 船首フレアスラミング

 水面衝撃の問題はWagner型とBagnold型の2種類に大別されます.船首フレアに生じるスラミングは船底スラミングにみられ るような空気巻き込みは生じないので一般的にWagner型衝撃として取り扱われます.Wagnerの水面衝撃理論はvon Karmanの理論 と同様に物体を平板で近似したものですが,衝撃時の水面の盛り上がりが考慮された理論であり,圧力分布が簡単な数式で表現 される点で非常に有用なものです.現在では物体が楔のように直線形状のものだけだなく,多項式やルイスフォームで表される 物体形状にまで適用できるように一般化されたWagner理論の研究成果も報告されています.
 しかし,平板近似による理論のため水面との接触角が大きくなるにつれて推定誤差は大きくなり,水圧を過大評価することになります. また,波浪中での問題を考えるときには波面との相対運動を考える必要があります.Wagner理論では衝撃力は付加質量の運動量変化とし て与えられますが,衝撃モデルを考慮する際の水面衝撃の判定が重要な問題になると考えられます.我々は境界要素法(BEM)を用いてこ れらの問題を合理的に計算する方法について研究を進めています.
 図は船首断面形状をもつ2次元物体が水面に突入する様子をシミュレートしたものです. 球状船首が露出した場合を想定したものですが,物体表面に窪みがあるような形状に関する流体挙動シミュレーションの一例です.

 

【速度12.1[m/s],角振動数0.696[rad/s]で周期運動する場合】

 

【落下速度は4[m/s]の場合】