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応用分析化学 国内学会等 海外学会等 NIST留学記 NDA留学記

【報告-第7回】 2000年2月4日掲載 

~ 朝駆けの日々、朝焼けの富士 ~

- 「走る書斎」でスキルアップ -
大学での研究活動は、時間を区切りにくいことから、「土・日のない生活」とも表現されます。
防衛大学校での生活もそうです。
取材現場を抱えていた頃のような張りつめた日々は減りましたが、
何もかも忘れてゆっくり休める日もなくなりました。
なかでも、頭の痛いのが遠距離通学と早起きです。 

私たち総合安全保障研究科(大学院)の3期生(18人)には、埼玉県所沢市や東京都内、
遠くは静岡県浜松市(ウィークデーだけ横須賀市に単身赴任)から、
神奈川県横須賀市の学校まで通う「遠距離通学組」が何人かいます。
私もその1人です。
東京・多摩地区の自宅から学校までの道のりは100キロあまり。
通学に1日往復5時間、週にすると25時間も交通機関に乗っています。 

午前8時半から始まる日は、凍てつく朝、まだ暗い5時半に家を出ます。
「夜討ち朝駆け」といって、取材先を深夜早朝に訪ねる記者の取材方法がありますが、
昨年4月からずっと朝駆けを続けているような気分です。
朝焼けに映える冠雪した富士山を見られることだけが慰めです。





わが愛用の電子辞書

通学時間の長さは、防大構内の学生舎や大学近くの官舎から通う同級生に比べると、大きなハンディーです。 睡眠時間を補うだけの場所だった電車内は、いつしか「走る第2の書斎」となってしまいました。 雑誌から専門書までの読書、英会話テープのリスニング、思索、瞑想……。 いろいろ試しましたが、英語論文を辞書なしで読むのが最も効果的だと気づきました。 車内では、中途半端にしか頭に入りません。 でも、英文を一気に読み通す苦痛もやわらぎ、難解な単語があってもおぼろげながら意味がつかめるものです。 帰宅後、ていねいに辞書を引いて再読すれば、意外なほどしっかり頭に残ります。 時間節約のために覚えた工夫は色々あります。 なかでも電子辞書は手放せません。 操作はキーを打ち込むだけなので、辞書を繰る手間の半分ですみ、スピードアップ間違いなし。 また、英文速読のコツは、同じパラグラフの最初の1文と最後の1文だけを読んで 大意をつかむことだと知りました。 分厚い専門書はコピーして、必要な分量だけ持ち歩きましょう。荷物が軽くてすみます。 電車内での読書には付箋(ポストイット)がお勧めです。 図書館で借りた本でも、つり革にぶらさがりながら大事な部分をマーキングすることもできます。 - メディアを駆使してスキルアップ - 現実に動いている安全保障を勉強するには、授業で扱う理論や歴史のテキストだけでは不十分です。 メディアを通じた、国際政治や外交の現場への目配りが大切です。 防大の図書館では、日本の主な全国紙や一部の政党機関紙のほか、 著名な学者やコラムニストが論評を寄せるヘラルド・トリビューン、ニューヨーク・タイムズ、 ル・モンドなど欧米の有力紙、各国の軍事専門誌も自由に閲覧・複写できます。 米軍の動きを知る身近な資料としては、米軍の準機関紙 「STARS AND STRIPES(星条旗新聞)」があります。郵送で購読できる日刊紙です。 日本の新聞では十分カバーできないコソボや東ティモール、中東などのホットな話題、 在日米軍を含め世界に展開する米軍の活動、米国の国防政策などもよくわかります。 問い合わせは、 〒106-0032 東京都港区六本木7の23の17、星条旗新聞社販売部(03-3401-8929)へ。 国際政治の勉強に欠かせぬ欧米メディア

世界の軍事事情をコンパクトにまとめた専門誌では、 英国ジェーンズ社の「JANE`S DEFENCE WEEKLY」が有名です。 各国の装備に関する情報を中心に、話題になっている紛争や軍事問題の分析も掲載されます。 米軍向けのラジオ放送がAMで聞けるのをご存じでしょうか。 810KHzの「AFN」(AMERICAN FORCES NETWORK、かつてのFEN)です。 在日米軍基地にミニサテライトをもっていて、各地の米軍の話題や軍人・家族向けのお知らせ、 米国のヒットチャートからフットボール中継まで流されています。 定時に5分ほど流れるAPの国際ニュースは便利です。 - 沖縄を考える - 前回、沖縄のマラソン大会に参加した話を書きましたが、 もう少し沖縄の話題を続けたいと思います。 ゴール付近の筆者

離島の粟国(あぐに)島を舞台にした映画「ナビィの恋」(中江裕司監督)をご覧になりましたか。 ブラジルに移住した年配の男性が60年ぶりに島に戻り、すでに孫もいる かつての恋人ナビィへの思いを忘れられずに、一緒に島を出るという老いらくの 逃避行を描いた作品です。あけっぴろげではあるが芯の強い恋愛や美しい自然が、 沖縄独特のユーモアを交えながら紹介されていて、沖縄好きにはたまらない作品です。 故・嘉手苅林昌さんら琉球民謡の大御所がずらりと出演して、彩りを添えています。 沖縄は他県と比べものにならないほどの移民県です。 明治から昭和初期にかけて、ハワイやブラジル、フィリピンなどに数多くの人々が渡り、 一時、移民率が全島の1割を超えたそうです。沖縄県と名護市が昨年末、 米軍普天間飛行場の受け入れ先に決めた本島北東岸地区も、生活苦から大勢の人々が海外にわたりました。 激しい沖縄戦のあと、疲弊した人々は生活のために先祖伝来の土地を米軍に提供せざるをえませんでした。 キャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセンといった沖縄最大の海兵隊駐屯地は、こうして誕生したのです。 今回の飛行場受け入れ表明の背景にあるのも、結局は経済振興との引き替えであり、 事情は当時と少しも変わらないように思えます。 名護市のキャンプ・シュワブ沖

もし本土なみに豊かな暮らしができたなら、穏やかな生活を犠牲にしてまで米軍施設を受け入れるでしょうか。 繰り返し言われていることですが、国土面積の 0.6%にすぎない沖縄に 在日米軍施設の75%が集中している現状は、どう考えても尋常ではありません。 歴史を振り返りながらこうした動きを考えると、ちょっと違ったものが見えてきそうです。
Q and A
 前回は、戦争法の問題でした。
 戦場で適用される戦争法は、交戦国同士が 一定の約束事(法規)を守っているという
 信頼関係を前提に成り立っています。
 「背信行為」とはその信頼を裏切り、 戦争法で保護される立場を装うことを指します。

 たとえば、降伏するふりをして攻撃しかけたり、 
 中立国の軍服や赤十字の保護標章をつけて戦闘するような場合です。
 これは日本も署名している陸戦法規という 戦争法で禁じられています。 

 一方、
 陽動作戦やニセ情報を使って敵を錯誤させるような戦法を 「奇計」と呼んで区別しています。
 こちらは合法です。海戦の場合はやや事情が違って、 交戦相手国や中立国の国旗を掲げていても、
 発砲直前に自国の国旗を掲げ直せば、 背信行為とはならないとする規定がわざわざ設けられています。
 艦艇を使った戦闘が陸上戦よりテンポが遅いからでしょうか。
 ちょっと不思議な気もします。 

次回は、日本に落とされた原爆についての問題です。
米軍が太平洋戦争を終結させるため広島と長崎に投下した 原爆について、
ある司法判断が出されたことがあります。いつ、どこであった裁判でしょうか。
また、どういう根拠に基づき、どんな判断が下された出しょうか。  
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