- 「走る書斎」でスキルアップ -
大学での研究活動は、時間を区切りにくいことから、
「土・日のない生活」とも表現されます。防衛大学校での生活もそうです。
取材現場を抱えていた頃のような張りつめた日々は減りましたが、
何もかも忘れてゆっくり休める日もなくなりました。
なかでも、頭の痛いのが遠距離通学と早起きです。
私たち総合安全保障研究科(大学院)の3期生(18人)には、
埼玉県所沢市や東京都内、
遠くは静岡県浜松市(ウィークデーだけ横須賀市に単身赴任)から、
神奈川県横須賀市の学校まで通う「遠距離通学組」が何人かいます。
私もその1人です。
東京・多摩地区の自宅から学校までの道のりは100キロあまり。
通学に1日往復5時間、週にすると25時間も交通機関に乗っています。
午前8時半から始まる日は、凍てつく朝、まだ暗い5時半に家を出ます。
「夜討ち朝駆け」といって、
取材先を深夜早朝に訪ねる記者の取材方法がありますが、
昨年4月からずっと朝駆けを続けているような気分です。
朝焼けに映える冠雪した富士山を見られることだけが慰めです。
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通学時間の長さは、防大構内の学生舎や
大学近くの官舎から通う同級生に比べると、
大きなハンディーです。
睡眠時間を補うだけの場所だった電車内は、
いつしか
「走る第2の書斎」となってしまいました。
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わが愛用の電子辞書
雑誌から専門書までの読書、英会話テープのリスニング、思索、瞑想……。
いろいろ試しましたが、英語論文を辞書なしで読むのが
最も効果的だと気づきました。
車内では、中途半端にしか頭に入りません。
でも、英文を一気に読み通す苦痛もやわらぎ、
難解な単語があってもおぼろげながら意味がつかめるものです。
帰宅後、ていねいに辞書を引いて再読すれば、
意外なほどしっかり頭に残ります。
時間節約のために覚えた工夫は色々あります。
なかでも電子辞書は手放せません。
操作はキーを打ち込むだけなので、辞書を繰る手間の半分ですみ、
スピードアップ間違いなし。
また、英文速読のコツは、
同じパラグラフの最初の1文と最後の1文だけを読んで
大意をつかむことだと知りました。
分厚い専門書はコピーして、必要な分量だけ持ち歩きましょう。
荷物が軽くてすみます。
電車内での読書には付箋(ポストイット)がお勧めです。
図書館で借りた本でも、つり革にぶらさがりながら
大事な部分をマーキングすることもできます。
- メディアを駆使してスキルアップ -
現実に動いている安全保障を勉強するには、
授業で扱う理論や歴史のテキストだけでは不十分です。
メディアを通じた、国際政治や外交の現場への目配りが大切です。
防大の図書館では、日本の主な全国紙や一部の政党機関紙のほか、
著名な学者やコラムニストが論評を寄せるヘラルド・トリビューン、
ニューヨーク・タイムズ、ル・モンドなど欧米の有力紙、
各国の軍事専門誌も自由に閲覧・複写できます。
米軍の動きを知る身近な資料としては、
米軍の準機関紙
「STARS AND STRIPES(星条旗新聞)」
があります。
郵送で購読できる日刊紙です。
日本の新聞では十分カバーできない
コソボや東ティモール、
中東などのホットな話題、
在日米軍を含め世界に展開する米軍の活動、
米国の国防政策などもよくわかります。
問い合わせは、
〒106−0032
東京都港区六本木7の23の17、
星条旗新聞社販売部
(03-3401-8929)へ。
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国際政治の勉強に欠かせぬ 欧米メディア
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世界の軍事事情をコンパクトにまとめた専門誌では、
英国ジェーンズ社の「JANE`S DEFENCE WEEKLY」が有名です。
各国の装備に関する情報を中心に、
話題になっている紛争や軍事問題の分析も掲載されます。
米軍向けのラジオ放送がAMで聞けるのをご存じでしょうか。
810KHzの「AFN」
(AMERICAN FORCES NETWORK、かつてのFEN)です。
在日米軍基地にミニサテライトをもっていて、
各地の米軍の話題や軍人・家族向けのお知らせ、
米国のヒットチャートからフットボール中継まで流されています。
定時に5分ほど流れるAPの国際ニュースは便利です。
- 沖縄を考える -
前回、沖縄のマラソン大会に参加した話を書きましたが、
もう少し沖縄の話題を続けたいと思います。

ゴール付近の筆者
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離島の粟国(あぐに)島を舞台にした映画
「ナビィの恋」(中江裕司監督)をご覧になりましたか。
ブラジルに移住した年配の男性が
60年ぶりに島に戻り、すでに孫もいる
かつての恋人ナビィへの思いを忘れられずに、
一緒に島を出るという老いらくの
逃避行を描いた作品です。
あけっぴろげではあるが芯の強い恋愛や
美しい自然が、沖縄独特のユーモアを交えながら
紹介されていて、沖縄好きにはたまらない作品です。
故・嘉手苅林昌さんら琉球民謡の
大御所がずらりと出演して、彩りを添えています。
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沖縄は他県と比べものにならないほどの移民県です。
明治から昭和初期にかけて、ハワイやブラジル、
フィリピンなどに数多くの人々が渡り、
一時、移民率が全島の1割を超えたそうです。
沖縄県と名護市が昨年末、
米軍普天間飛行場の受け入れ先に決めた本島北東岸地区も、
生活苦から大勢の人々が海外にわたりました。
激しい沖縄戦のあと、疲弊した人々は
生活のために先祖伝来の土地を
米軍に提供せざるをえませんでした。
キャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセン
といった沖縄最大の海兵隊駐屯地は、
こうして誕生したのです。今回の
飛行場受け入れ表明の背景にあるのも、
結局は経済振興との引き替えであり、
事情は当時と少しも変わらない
ように思えます。
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名護市の キャンプ・シュワブ(右)沖
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もし本土なみに豊かな暮らしができたなら、
穏やかな生活を犠牲にしてまで米軍施設を受け入れるでしょうか。
繰り返し言われていることですが、
国土面積の 0.6%にすぎない沖縄に在日米軍施設の75%が
集中している現状は、どう考えても尋常ではありません。
歴史を振り返りながらこうした動きを考えると、
ちょっと違ったものが見えてきそうです。
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