- 情けも容赦もありません -
修士論文の作成は、
私たち総合安全保障研究科の学生にとって
最後の仕上げです。
研究対象について、教官の前で段階的に
発表する作業が始まりました。
12月の中間報告、
来年2月の最終提出へと続きます。
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小銃を抱えて構内を走る学生たちには、
いまだにギョッとします。
このため、毎週水曜日に「プロジェクト」という科目が設けられています。
同級生18人が、テーマ別に4グループ
(「地域と安全保障」「安全保障協力の過去と現在」
「アメリカの政戦略」「情報と意思決定」)にわかれ、
学生とほぼ同数の指導教官が加わって、「トロイカ指導」が進んでいます。
授業内容は、いまのところ、論文概要の発表や
先行研究のレビュー・エッセーの作成、小論の文章指導などが中心です。
5月中旬の授業初日。あるグループをのぞいてみました。
ゼミ室では、教官と学生あわせて10数人が、
この日の発表者2人を取り囲むように座っています。
1人は朝鮮戦争の作戦情報をめぐる歴史的検証、
もう1人はベトナム戦争を押し進めた米国の政策分析がテーマです。
A4判の用紙5枚程度に、論文の目的や先行研究との比較、
独自性の説明などをまとめ、まず30分程度で説明。
続いて、出席者から疑問や批判を出してもらうという形で進められました。
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社会科学の論文は、
約束事が多いのが特徴です。
手ぐすね引いている教官からは、
情け容赦のない質問が飛び交いました。
入校直後はぎこちなかった新入生の行進も、
板につきつつあります。
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「入手した資料で、あなたの仮説が実証できるのですか」
「根本的な事実を見逃していませんか」……。
先生方の『愛情』の裏返しとも思える集中砲火に、
私なら「うーん」とうなって黙り込んでしまいそうです。
しかし、この2人は、読みこなした文献史料や理論を引用しながらし、
てきぱきと的確に説明。
先生方の好評は「よくできています。この調子で」。
終了時には、拍手さえわきました。
私たちはこうした作業を繰り返しながら、論文を完成させていきます。
私の発表は6月中旬。
日米安保に関する文献を4つほど挙げて、
自分の考えとの違いをはっきりさせながら、
批判的に比較分析するレビュー・エッセーを試みます。
さて、無事乗り切れますか。
- 資料を求めて、にしひがし -
論文作成が始まって、学生生活も様変わりしています。
文献などの資料収集は、とても学内では用が足りません。
所蔵30万冊余を誇る防大図書館をしり目に、
首都圏のさまざまな施設に足を延ばすようになりました。
私の場合、授業のないときは
しばしば防衛研究所図書館(渋谷区恵比寿)や、
東京大学教養部(目黒区駒場)のアメリカ太平洋地域研究センター、
アメリカン・センター(港区芝公園)のレファレンス資料室などで
作業するようになりました。
こうした作業で何よりも大切なのは、
ほしい資料がどこにあるかを
効率的に知るための手がかりです。
やはり、教官に教わったり、
共通のテーマを持った仲間同士の
情報交換が一番役に立ちます。
手っ取り早いところでは、専門書店や
各種図書館の利用方法や概要を
ていねいに説明している
『東京ブックマップ−
東京23区書店・図書館徹底ガイド』
(書籍情報社)なども便利です。
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米国立公文書館で入手した 元「機密」文書の数々
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もちろんインターネットの活用は欠かせません。
NACSISのWebcat(http://webcat.nacsis.ac.jp/)をはじめ、
いろんな大学が提供している検索サービスの活用も必要でしょう。
しかし、実際の論文を書くためには1次資料が不可欠です。
日米の安全保障問題に関しては、
どうしても米国政府の公文書や歴史資料がほしくなります。
総合安全保障研究科の先輩方の多くは、
ワシントンDCやメリーランド州カレッジ・パーク
(アーカイブスU)などにある国立公文書館に足を運び、
保管資料を収集して役立ててきました。
公文書館には、1次資料と呼ばれる政府刊行物や公文書、地図、
映像、写真など米連邦政府の膨大な記録が保管されています。
日本の専門家の多くも、ここで資料を発掘して
すばらしい成果を発表しています。
例えば、琉球大学の我部政明教授の
『日米関係のなかの沖縄』(三一書房)では、
「森」のような資料の山のなかで進める作業の大変さが紹介されています。
私たち3期生のなかにも、すでに何人かが、この夏、
ここを利用する計画を立てています。
昨年末、下見に行かれた同級生の林満称子さん(2等陸尉)に、
雰囲気をお聞きしました。
林さんのアーカイブ訪問記
- 先生は戦略ミサイルの元運用幹部 -

英会話は、日米のものの考えかた の違いを感じるいいチャンス
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英語に慣れるため、最近、学内で
有志数人と英会話を習い始めました。
先生は防衛大学校で
語学を教えていらっしゃる元空軍中佐の
マーク・ブライアントさん。
戦略ミサイルの部隊運用の
幹部だったそうです。
数年前に退役され、
米軍家族向けの学校教師をしている
奥さんに伴って来日、
ここで教鞭をとるようになったそうです。
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テキサス州の出身。
ドイツや韓国での勤務経験もおありだそうです。
自ら「保守的」と名乗るほどの筋金入りの軍人で、
「peace through strength」
(「精強さが支える平和」というような意味でしょうか)
という言葉がお好きです。
議論が白熱するといつも、このフレーズが飛び出します。
授業では、米軍の準機関紙「Stars & Stripes Pacific (星条旗新聞)」
の記事を教材に、ディスカッションを通して語学力を磨いてもらっています。
これまでのテーマは、「casualty aversion(米軍の戦死者ゼロ政策)」や
「中台問題」、「米国のNMD(ミサイル防衛計画)」、
「女性への軍の職種開放」など。
ものの考え方が、私たち日本人とずいぶん違うので、
彼との議論がとてもおもしろく感じられます。
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