研究テーマ:固体高分解能核磁気共鳴法(固体NMR法)を用いたポリマー系材料の構造解析
1H spin diffusion
不均一固体系のドメインサイズを知る
ポリマーの官能基は固有の分子運動をしているため、各官能基の 1H核は固有の緩和時間を持ちます。
しかし、固体中では強い双極子相互作用により 1H スピン拡散と呼ばれる現象が起こり、官能基間の
緩和時間は平均化され同じ値となります。このスピン拡散速度を解析することで不均一度を知ることができます。
Polymer Blends -
Interaction, Miscibility, Molecular Motion
ポリマーブレンドやポリマーアロイなど2種類以上のポリマーが
複合化した系においてポリマー間で相互作用が起こったり、分子運動に変化が表れたりします。このような不均一固体系
を解析する手段として、固体NMR法は非常に重要です。右図はポリマー間で水素結合が起きて相溶化する
ポリマーブレンド系の固体NMRスペクトルです。スペクトルを解析することにより
水素結合の化学量論比などの定量的な解析が可能です。
Organic/Inorganic Nanocomposites -
Morphology, Molecular motion, Interface
有機/無機複合材料は最近特に注目されている材料です。固体NMR法は炭素や水素などの核種に加え、
珪素(Si)などの無機元素も観測可能であるため、有機/無機複合材料の化学構造解析の有力な手段となっています。
1H スピン拡散を利用して常磁性緩和の広がりを定量化することで2種類の異なる結晶相のモルフォロジー
を解析することも可能です。
|