円柱からの渦放出抑制
1.円筒形リングを配列した実験
円筒形のリングを円柱軸方向に等間隔に配列した実験を行いました。リングの直径・幅、配列ピッチ、およびレイノルズ数を系統的に変化させた結果、レイノルズ数が20000程度を超えた時、特定のリング形状・配列において抗力が大きく低下すると共に、変動力の周期性がほぼ消滅することがわかりました。
このメカニズムは、次のように説明できます。(1) リング端部で形成されるコーナー渦が圧力差によってリング側方に流れ込み、乱れが促進される。(2) リング側面で剥離した流れが Re ≥ 20000で乱流遷移する。(3) その結果、リング背面に流れが再付着し、リングの後流が著しく縮小する。(4) これにより、リング背後に大規模な循環対(±ωy)が誘起される。(5) この循環対が二次元的なカルマン渦列の形成を妨げる。