防衛大学校 応用科学群 応用化学科

 応用物理化学講座


 

 助手  篠原 絵美                   

 

  研究内容

  層状ケイ酸化合物の層間に存在する特異な空間に着目し、その空間を新しい分子設計場として利用した研究を行っています。粘土に代表される層状ケイ酸化合物は、厚さ約1 nmの無機ケイ酸層の層間に二次元に広がる空間をもち、その空間には他のイオンだけでなく有機物も挿入することが可能です。この空間に存在する有機物は分子間力が二次元に限られることから、バルクの三次元結晶とは異なった構造や物性をもつことが予想され大変興味がもたれます。これまでに、液晶的な動的挙動を示す、電子伝導性をもつ、また、プロトン伝導性をもつ、といった機能性の有機分子を層状ケイ酸化合物層間に挿入し、その構造や物性を調べてきました。これらの化合物はその特異な構造や物性といった興味だけでなく、機能性をもった有機物を、熱的および機械的安定性をもつ無機物と複合化(ハイブリッド)させるという面から、材料化学としての期待もあります。  実験手法は、まずこれらの新しい層間化合物を合成します。合成には遠心分離機、超音波洗浄器などを用います。次に、これらの構造を決定するために粉末X線回折測定、CHN元素分析、熱重量分析などを行います。有機物の動的挙動を探るには、固体NMR装置を用いてスペクトルや緩和時間などを測定します。電子伝導性やイオン伝導性については、直流および交流電気伝導度測定を行っています。その他、状況に応じてIRやUVといった光学スペクトル測定やガス吸着、XPS、TG-MSなどの測定も行い、多角的に得られた化合物の物性を評価しています。

  

  学会への参加

日本化学会、分子構造総合討論会において主に発表をしています。

ほかにNMR討論会や粘土科学討論会、固体イオニクス討論会、日本物理学会等にも参加します。

 

  経歴    

1996年4月 筑波大学第一学群自然学類 入学

2000年3月 同校 卒業

2000年4月 筑波大学数理物質科学研究科 入学

(物質創成先端科学専攻、無機物理化学研究室:池田龍一教授)

2003年3月 同校 退学

2003年4月 防衛大学校 助手 

  

   学位  

2002年3月 修士(理学) "ケイ酸化合物層間における長鎖アルキルアミン及びアンモニウムの挙動"

 

  投稿論文

1) A Novel electron conductive nanocomposite, BEDO-TTF-tetrasilicicfluormica

  (Solid State Communications, 127, 407(2003))

2) Structures and dynamics of n-dodecyltrimethylammonium ions intercalated into octosilicate and tetrasilicicfluoromica

  (Journal of Physics : Condensed Matter, 15, 7253(2003))

3) Structures and dynamics of dodecyldimethylamine oxide intercalated into RUB

  (Journal of Physics and Chemistry of Solids, 65, 425(2004)

 

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