防衛大学校 National Defense Academy

材料設計教育研究分野Materials Science

熱電能の実験値と計算値の比較例の図
図1 熱電能の実験値と計算値の比較例(材料は Al–Cu–Ir 系の複雑構造金属間化合物)。

材料設計の為の実践的な計算・データ科学技術の研究開発

北原 講師Dr. Kitahara (Lecturer)

 電子計算機の能力は年々高まっており、材料やプロセスの設計にも計算科学やデータ科学の技術を活用する事の重要性が増しています。しかし、高性能な電子計算機を用意すればすぐに活用できるわけではありません。材料開発のどの段階でどの様なデータが必要か。それらのデータを既存の技術で、あるいはそれらに改良を加える事で、十分に高精度かつ高効率に予測する事が可能か。こうした問題を個々の課題に応じて一つ一つ検討し、解決していかなければなりません。本研究室では「高効率な熱電変換材料の開発」、「新材料探索」といった課題に取り組みながら、これらを効率的に解決する為の実践的な計算・データ科学技術の確立を目指して研究を進めています。具体的な研究テーマの例としては
・量子輸送理論に基づく高精度な熱電特性予測技術の開発(図1)
・未知熱平衡状態図の予測技術を活用した効率的な新材料探索プロセスの設計
などが挙げられます。

太陽光発電に関する研究

宮﨑 講師Dr. Miyazaki (Lecturer)

 太陽電池は現在、広く使われています。しかし、地球環境を考えた場合、さらに太陽光から電気への変換効率が高く、安価に作製でき、資源量の豊富な材料の使用が期待されています。一つの解決法として、化合物薄膜太陽電池があります。

 中でも、銅系硫化物(Cu2ZnSnS4 (CZTS), CuInS2 (CIS), Cu2SnS3 (CTS) など)は、資源量も豊富で安価に作製できるため、新しい光吸収層材料としての期待を集めています。本研究室では、真空装置を用いた物理的方法とスプレー法などの化学的方法を組み合わせ、安価で効率の高い太陽電池用材料の研究を行っています。また、デバイスを作製し、界面や欠陥の情報を得て、さらなる高効率化を目指しています。