参考文献


東北鉱山風土記

編著:仙台鉱山監督局
発行年:昭和17年
備考:東北大学付属図書館蔵

本書は、昭和17年当時に操業中、操業準備中、調査中、 休山中であった東北地方の鉱山について、その地理、歴史、 現状などをまとめたものであり、約350もの鉱山が紹介されている。 明治から戦前までの鉱山はほとんど全て 網羅されているといっても過言ではない。 戦後編纂された郷土史などの多くが本書を参考文献として利用している。 非売品であるが、発行部数は多かったようで、 東北地方の主要な図書館であれば置いてあるようだ。 本書の序文には次のように書かれている。

今我々が常識だと思って語り合つて居る事柄でも、 何年か経てばお互いに忘れて行く。本書に綴られた鉱山の沿革や物語も、 大部分は関係者の熟知する事だらうと思ふ。 只、今日纒めて置かなかつたならば、 其の何れか部分から隠滅して行くであらう事を 考へて編纂を企てた次第である。

筆者の予想どおり、多くの鉱山がその閉山とともに忘れ去られつつある ことは誠に残念である。

本書の内容の一部を以下のページで紹介します。 もはや仙台鉱山監督局も存在しないので 著作権者に無許可掲載となります。 問題があるようでしたらご指摘していただけると幸いです。

日本の鉱山

編著:小山一郎・緒方乙丸
発行所:内田老鶴圃
発行年:昭和31年

この本も、全国の図書館に置かれている定番である。 鉱業に必要な一般知識の解説が大部分を占め、 後半部分で国内の鉱山の現状について若干触れられている。 鉱業一般の知識を学ぶには良い入門書であろう。

日本の鉱山(増訂)

編著:緒方乙丸・小山一郎
発行所:内田老鶴圃新社
発行年:昭和48年

日本の鉱山の改訂新版であると思われる。 が、私は現物を読んだことがないので、詳細は不明である。

鉱山と鉱山集落

編著:斉藤實則
発行所:大明堂
発行年:昭和55年
ISBN:4-470-53010-1

近・現代の鉱山集落を地理学および社会学的立場から論じた数少ない市販本である。 鉱山集落の研究は、その大部分が近代以前の歴史的研究(たとえば佐渡金山など)によって占められている。明治時代以降を対象とした研究や報告は、 社会主義運動の文脈で記述されていることが多く、純粋に社会学的観点に基づく研究は数少ない。

本書には、著者が調査した秋田県の鉱山情報が付属している。 小規模なものから大規模なものまで、各鉱山の沿革、現状などが詳細に記されている。 しかし、残念ながら絶版で再販予定はない。

東北鉱業会四十年史

編著:東北鉱業会
発行所:東北鉱業会
発行年:昭和63年

東鉱業会が結成四十周年を記念して作成した小冊子で、非売品である。 昭和23年以来の鉱業界の動向などを一年毎に整理しており興味深い。

鉱物採集フィールド・ガイド

著者:草下英明
発行所:草思社
発行年:昭和57年
ISBN:4-7942-0156-7

現在、鉱山や廃坑を訪れるのは主に鉱物採集を目的とした人々である。 本書は、素人でも採集が可能な鉱物の産地を解説しており、 その中に鉱山や廃坑も含まれていることからここで紹介する。

私自身、特に鉱物採集に興味があるわけではないが、本書を読んでいると現地に行って石を叩いてみたい衝動に駆られてしまう。「趣味」の楽しさを再認識させてくれる好書である。


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