電子機器の熱設計に関する研究

1.加熱ブロックからの熱伝達測定

 発熱体の空冷に関する基礎データを取得するため、ノートPCを模擬した薄型の流路内に加熱ブロックを設置し、加熱ブロックからの熱伝達率分布を赤外線カメラで測定しました。同時に、熱伝達の一般整理式を作成しました。また、加熱ブロック上流側に障壁を設置した実験を行い、障壁の位置・形状によってブロックからの熱伝達が飛躍的に向上することを示しました。

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【 主な文献 】
  1. Forced Convection Heat Transfer from a Low-Profile Block Simulating a Package of Electronic Equipment, ASME J. Heat Transfer, 126-3 (2004) 463-470
  2. 低風速きょう体内に置かれた薄型ブロックの伝熱促進, 機論B, 71-702 (2005), 581-589

2.空冷ファンの性能測定

40mm程度以下の小型ファンの性能(PQ曲線)を測定するため、ファン性能測定装置を製作しました。この装置を用いて、ファンの近傍に障害物が設置された時の性能変化を調べると共に、ファン周囲の流れの可視化および速度分布測定を行いました。

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【 主な文献 】
  1. 小型ファン性能測定装置の製作, RC214研究分科会 研究報告書 (2006), pp.805-812の加筆・修正版
  2. 小型空冷ファンの風量に及ぼす障害物の影響, 機論B, 76-768 (2010), 1184-1190

3.CFD解析のための空冷ファンのモデル化

 強制空冷機器をCFD解析で熱設計する場合、空冷ファン(回転翼列まわりの流れ)の解析負荷が非常に重くなります。そのため、ファンのPQ曲線から送風量を簡易に求める方法が良く用いられています。当研究室では、PQ曲線から送風量を正確に求める方法や、流れに旋回力を与えてファン吐出口の速度分布を求める汎用的手法について検討してきました。その結果、回転翼形状を用いない簡易なファンモデルであっても、ファンまわりの流れ場を適切に表現できることを示しました。

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【 主な文献 】
  1. 電子機器熱設計のための空冷ファンモデル(PQ曲線を用いたモデル化の問題点とその改善策), 第45回日本伝熱シンポジウム講演論文集 (2008),CD-ROM H232
  2. 電子機器熱設計のための空冷ファンモデル(軸流ファン出口における旋回流のモデル化), 第47回日本伝熱シンポジウム講演論文集 (2010),CD-ROM J213
  3. 軸流ファンの無次元旋回力係数モデル(障害物設置の影響), 第49回日本伝熱シンポジウム講演論文集 (2012),CD-ROM C324
【 関連資料 】
  1. ファンモデルのインタビュー記事(ソフトウェアクレイドル)