学科長挨拶
防衛大学校人間文化学科のウェブページをご訪問くださりありがとうございます。人間文化学科は、異文化理解と異文化コミュニケーション能力を涵養し、国際社会で活躍できる人材を育成することを目的として2000年に開設された学科です。まだ歴史は浅いですが、多くの卒業生がその能力を生かし、国際平和協力活動など海外での現場活動を含め各方面で活躍しています。
本学科の教育カリキュラムは、哲学、心理学、歴史学(アジア史、日本史、欧米史)、地理学、宗教文化、言語文化(文学、メディア、比較文化、異文化コミュニケーション)、語学の7科目群から構成されています。これらの専門分野は、一般大学の文学部と重なる部分が多いかと思います。文学部というと、趣味の勉強をするところというイメージを持たれがちですが、実際には、人類がその歴史とともに積み上げてきた人文科学(あるいは人文学)の方法論に基づき、人間社会・文化のあり方やその本質を探求するところです。本学科でも、多様な角度から人間・社会・世界を理解する総合知を養うことを目指しています。人類が向き合ってきた(いる)普遍的な問題群について、先人が積み上げてきた知と対話しながら探究することによって培われる力は、現在の茫洋たる情報社会の海原を航海する上での有効な羅針盤となるでしょう。
他方で、実際の世界は非常に多様であり、グローバル化とともに文化間の交錯が進む中で、多様な文化がいかにして共存できるかが世界的な課題となっています。本学科では様々な地域を専門とする教官による異文化に関する教育や、異文化理解のツールとなる外国語教育を通じて、異文化を理解し、異文化と向き合う際に必要な実践的な能力の養成に力を入れています。AIの発達により、日常的なコミュニケーションにおける言語の障壁はなくなるように思われるかもしれませんが、言語の背景にある文化的な差異を含めて正確に伝えることは難しいと思われます。例えば、「赤」という日本語で表される色相やイメージと”red”という英語のそれには異なる部分がありますが、翻訳の過程ではそのような違いは無視されてしまいます。日本人同士であっても小さな誤解が大きなトラブルに発展することがしばしば起こることを考えれば、AIというブラックボックスを通して異文化間のコミュニケーションをすることの危うさは容易に想像できるのではないでしょうか。外国語を通じて異文化を理解しようとする(またひるがえって自文化を客観的に理解することにもつながる)経験は、今後ますます国際的に活躍することが期待される幹部自衛官とってとりわけ必要なもののはずです。
このように、人間文化学科では、大空をはばたく鳥が地上を見下ろすような、俯瞰的、総合的に世界を理解する能力と、地上の虫が草木や土の息遣いを感じるような、個別の差異を尊重し、理解する態度・能力を持った人材の養成を目標としています。鳥の眼、虫の眼を兼ね備え、国際的に活躍したいという方はぜひ一緒に人間文化学科で学びましょう。






