応用科学群 応用化学科 火薬学 准教授 甲賀 誠 本文へジャンプ
爆発(爆轟)と燃焼

燃焼とは
 多量の発熱を伴う化学反応で、反応によって発生する熱エネルギーや活性化学種によって、自発的に反応が継続される現象と定義されている。
 通常、発熱をともなう酸化反応で自己継続的ものをいう。

爆発とは
・ウエブスター辞典
 圧力の急激な発生、または解放の結果として、激しく音を発して破壊したり、膨張したりする現象
・理化学事典
 圧力の急激な発生または解放の結果、容器が破裂したりまたは気体が急激に膨張して、爆発音や破裂作用をともなう現象
・疋田氏
 爆発を伴うような燃焼または破裂の現象
・千石氏
 気体の発生を伴う燃焼を高速で行った時の現象
このようにいろいろな定義があるが、共通していることは急激な体積の膨張をともなうことである。
  爆発の種類


 火薬類は、燃焼と爆発(爆轟)を起こす両方の性質を持っている。  
 火薬類による爆発は、一般的な物理的爆発に比べて大きな力を有している。


火薬類の特徴
  1.酸素を含んでいる。
2.高温を発生する。
3.極短時間で反応が終結する。
4.小容積から大きなエネルギーを発生する。

火薬類の燃焼と爆轟
 
爆轟波の伝播:
①火薬の表面に大きな衝撃が与えられると、火薬内部に爆轟波が発生する。
②その爆轟波は、伝播する波面において、高い機械的応力を発生させ、同時に高温となって、火薬を構成している化学物質を反応させる。
③反応してガス化した燃焼生成物は、爆轟波面より離脱して、空間に拡散しようとするが、爆轟波の伝播速度が大きいために、拡散できる割合は小さい。(→衝撃波のすぐ後方の圧力を増大させる)
④この圧力は、更に爆轟波が伝播するエネルギー源となり、爆轟波の伝播速度を減衰させることなく維持させる。

 衝撃波の伝播には、衝撃波を形成するために必要な燃焼速度が必要である。

 爆轟している爆薬の表面近傍は、衝撃波化学反応が同時に発生している爆轟波により形成される。

 表面上には衝撃波が付着しており、ピーク圧力(尖頭圧力)をつくりだし、化学反応はその後方で行われ発熱(燃焼)する。この発熱が衝撃波の進行を支えるエネルギーを供給する。(Chapman-Jouget点と呼ばれる位置において、発熱反応が完了し爆轟圧力PC-Jを形成する)

爆薬の爆轟波構造 

 火薬類の爆轟によるエネルギーの尺度として爆轟圧(P)が用いられており、Pは次式のように表されている。
   P=ρDW  (ρ:爆薬の初期密度、D:爆轟速度、W:爆轟生成ガスの流速)
したがって、爆轟速度が大きい火薬類ほど持っているエネルギーが大きいことになる。