査読論文の刊行

 

著者 国防論教育室 准教授 浦口 薫

論文のタイトル 「第二次世界大戦後の海運環境の変化と海戦法規への影響」

掲載誌 『海事史研究』第81号

刊行年月日 令和6年11月30日

 第2次世界大戦後に不明確となっていた海戦の慣習法を明文化するため、1994年にサンレモ・マニュアルが作られた。同マニュアルは高い評価を得ているが、一方では帆船時代の海戦・海運環境を色濃く反映し、現代の海運環境に上手く妥当するか疑問が生じる部分もある。貨物のコンテナ化と貨物船の大型化により、洋上での臨検・捜索は困難となったが、大型X線検査装置を用いた陸上検査による代替策が考えられる。便宜置籍船の増加は、独航船と船団護送下の場合で異なる影響をもたらすが、先述の陸上検査と組み合わせた証明書発行によりいずれも改善が図られそうである。自動運航船の登場については、同船が国連海洋法条約上の「船舶」と判断されるか否かの影響は限定的であることが分かった。「古い時代の規則」であるはずの海戦法規は、その時々の科学技術の発展を取り込みつつ、進化し続けている。

 

2024年11月30日