活動一覧

学会報告


国防論教育室の足達好正教授と浦口薫准教授が戦略研究学会第23回大会で研究成果を報告しました。

題目:
 足達教授「米国の対テロ戦略と標的殺害について」
浦口准教授「海戦における付随的損害をめぐる一考察」

月日: 令和7年4月20日(日)

場所: 明治大学 駿河台キャンパス

報告内容
 足達教授:米国の対テロ戦略について、標的殺害の観点から分析した。分析の結果、ブッシュ政権は標的殺害を対テロ戦略の手法として明確に位置付けていなかったが、次のオバマ政権から標的殺害を対テロ戦略の中心に位置付けるようになり、トランプ政権を経て、バイデン政権では、とりわけ無人機による標的殺害に依存した対テロ戦略に移行したことなどを示した。

 浦口准教授:商船が要件を満たして軍事目標に転化した場合に、商船の乗組員が文民としての保護を喪失するのか、保護は維持され攻撃に伴う付随的損害として扱われるのかについては見解が対立している。この問題について、先行研究、各国海軍教範の記述を手掛かりに分析し、付随的損害とみなすのが妥当だが「人間の盾」戦術禁止との整合を図る必要があること、付随的損害評価手順の整備が有用なこと及びビークル主体である海戦の特徴が影響を及ぼしていることを示した。

 

2025年04月21日

国民保護を実施する上での八重山列島の住民避難について


                                                    【研究ノート】
                                                  3等陸佐 堀欠弥礼
                                                  2等海佐 中澤信一
                                                 2025年4月14日

        国民保護を実施する上での八重山列島の住民避難について
             ―計画実行上の課題に関する考察―

 令和7年4月9日に行われた学群研究発表会において、堀欠弥礼3等陸佐が代表して
「国民保護を実施する上での八重山列島の住民避難に係る問題について~自治体首長の聴
き取り中心に~」について中間報告しました。
 2021年以降に沖縄県で国民保護について図上訓練が開始され、各自治体は避難に対し
慎重な意見が存在する中、真剣かつ具体的な検討をしています。
 その中で、特に国境に近い八重山列島の各自治体の住民避難に注目し、2025年2月
に八重山列島の自治体(石垣市、竹富町及び与那国町)を訪問して収集した意見を紹介
し、防大内で情報共有しました。

 

図 「令和6年度沖縄県国民保護図上訓練における八重山列島の自治体の島外避難の概
要」
出典:内閣官房・消防庁・沖縄県・先島5市町村「県の避難の指示(案:八重山地域)の
概要」令和6年度沖縄県国民保護共同図上訓練【資料2】関係機関等連絡調整会議運営訓
練資料5頁。
 石垣市、竹富町及び与那国町の各首長(竹富町は町長代理として副町長)にインタビュー
し、離島の特性及び特有の背景を含めた要因について伺うとともに、住民の安全を確保する
ための避難を具現化できるように手段を構築していることが確認できました。安全に住民が
避難をするためには、国、自治体及び住民の「三位一体」の協力が不可欠です。
 今年度は、受け入れ先自治体との連携も含め、令和7年度沖縄県国民保護図上訓練が行わ
れることから、受け入れ側にも注目して継続して研究していく予定です。

2025年04月14日

令和7年度防衛学教育学群研究発表会

 

            令和7年度 防衛学教育学群研究発表会の開催報告

令和7年4月9日(水)および10日(木)、防衛大学校において「令和7年度 防衛学教育学群研究発表会」を開催しました。本発表会は、防衛学教育学群の教官による研究成果および教授技法の共有を通じて、専門的知見の深化と教育方法の工夫を学群全体で共有し、教官相互の啓発と教育力の向上を図ることを目的として実施されました。
併せて、「防衛学特論」レポート指導法に関する研究会も開催され、新任教官を含めた全体での教授法改善に資する有意義な機会となりました。
________________________________________
■ 実施概要
• 期 日: 令和7年4月9日(水)・10日(木)
• 場 所: 防衛大学校 121番教場
________________________________________
■ 4月9日(水)「学群研究発表会」
13:00-13:30 国防論教育室 教授・1等陸佐 足達好正
【教授法】「学生の能動的学習に資する教育要領」
13:30-14:00 戦略教育室 准教授・2等陸佐 金子悟史
【研究報告】「北朝鮮金正恩の軍部隊等視察に見る軍改革」
14:00-14:30 戦略教育室 准教授・3等陸佐 堀欠弥礼/准教授・2等海佐 中澤信一
【研究報告】「国民保護を実施するうえでの八重山列島の住民避難に関る問題」
14:35-15:10 戦略教育室 准教授・2等空佐 柳谷武志
【教授法】防衛学科目「作戦」
15:10-15:40 戦略教育室 教授・1等海佐 渡辺 匡
【教授法】防衛学科目「統合作戦」

                   足達1等陸佐の発表景況

■ 4月10日(木)
【午前の部】「学群研究発表会」
11:00-11:30 国防論教育室 准教授・3等空佐 榎本圭祐
【研究報告】「力学モデルによるICBMの弾道計算」
11:30-12:00 国防論教育室・准教授 2等空佐 加瀬典文
【研究報告】「核シェルターの紹介」

【午後の部】「防衛学特論指導法研究会」
13:15-13:45 国防論教育室 准教授・2等陸佐 浦上法久
「特論指導法-教務管理・時程、RQ設定の論理」
13:45-14:15 国防論教育室 教授・1等陸佐 足達好正
「特論指導法-論文・レポートの書き方概説」
14:15-14:45 統率・戦史教育室 准教授・2等陸佐 諸永 大
「特論指導法-実証の方法論」
14:45-15:15 統率・戦略教育室 准教授・3等陸佐 寺田孝史
「特論指導法-事例研究の指導法」
15:15- 講評 防衛学教育学群長 教授・空将補 中谷大輔
________________________________________
今回の研究発表会では、各教官が教育・研究の実践に基づいた多様な内容を発表し、活発な意見交換が行われました。特に、防衛学特論の指導法に関する議論は、新任教官にとっても貴重な学びの機会となりました。
今後も本発表会を通じて、教育・研究の質のさらなる向上を目指してまいります。


                  防衛学教育学群長中谷空将補の講評

2025年04月09日

部外講演

 

国防論教育室の浦口薫准教授が「サラリーマンOB会金沢‘95」の依頼を受け、部外講演を実施しました。

題目:「世界の中の日本 -日本の国際社会における役割と国防-」

月日: 令和7年2月6日(木)

場所: 西柴コミュニティ・ハウス(横浜市金沢区)

講演内容: 横浜市金沢区を中心に活動するサラリーマンOB会からの依頼を受け、50名の会員に対し、国防と安全保障、日本周辺の軍事情勢、自衛隊の概要、米国の軍事戦略、日本の国益、自衛隊の統制と各種行動、自衛隊が直面する課題について講演を実施しました。質疑応答ではかなり熱のこもった多くの質問が出されました。




 

2025年02月06日

査読論文の刊行

 

論文のタイトル 「湾岸危機に対する日本の人的貢献の政治的失敗と政策過程の質――政策決定者に
       影響を及ぼす歴史の教訓と行政組織の政策機能――」

掲載誌 『防衛学研究』第5巻、第1号

筆者 統率・戦史教育室 准教授 諸永大2等陸佐

 湾岸危機における米国の日本に対する要請は、冷戦後の国際秩序の維持のため、西側諸国の結束を目に見える形で示す意図によって一貫しており、この意図は日本が見出しつつあった冷戦後の外交方針と一致していた。それにも拘らず日本政府は、意図に沿わない対応に終始した。米国大統領の要請を契機として開始された要員派遣の検討と、人的貢献策の法制化を目的とした「国連平和協力法案」の策定過程は、①国益、米国の要請のいずれに対しても不適合な要員派遣の検討、②自衛隊員の参加形態を巡る政府内及び政府-与党間の亀裂の深刻化、③政府に対する強い不信感を抱く国民の増加という政治結果に終わった。
 本研究は、上記の事象を政治的失敗であると捉えたうえで、政策決定者の「判断上の誘因の形成」と「選択的な環境認識」によって政策過程における合理性の程度が低下することを原因とし、検証を行った。その結果、政策決定者の認識枠組みを構成する「歴史の教訓」及び「外務省の政策機能」間の認識上の相互作用が、判断上の誘因を形成するとともに、選択的な環境認識を促すことによって政策判断が合理化され、政治的失敗を引き起こす政策過程が明らかにされた。

 

備 考 

 本件は、論文投稿時に部外意見発表手続きを実施済み。           

2025年01月10日

査読論文の刊行

 

著者 国防論教育室 准教授 浦口 薫

論文のタイトル 「日本の現状を踏まえた病院船に関する一考察 -武力紛争時の運用の考慮-」

掲載誌 『海事交通研究』第73号

刊行年月日 令和6年12月11日

病院船については、国内に一定の先行研究の蓄積があるものの、それらのほとんどは災害時の活用を検討するのみで、武力紛争時の運用を考慮していない。この点は日本国内の先行研究の顕著な特徴である。しかし、米戦略問題研究所が公開した台湾有事に関する報告書が示す海上自衛隊艦艇の被害状況を基に見積もったところ、1,000名以上の死傷者が発生する可能性があることが分かった。このような状況では、病院船の運用は必須といえよう。病院船の運用に際し、国際法の観点からは、識別、暗号使用及び自衛手段に関する課題が存在し、これらを考慮した設計や運用が必要となる。日本の病院船の保有形態にはいくつかの案が考えられ、今後は早期の実現に向けて、現実的かつ技術的な見地からも検討する必要がある。

 

2024年12月11日

学会報告

 

国防論教育室の浦口薫准教授が国際安全保障学会令和6年度年次大会で研究成果を報告し
ました。
題目:「中立船団下の便宜置籍船に対する臨検 -多国籍船団護送の法的効果-」

月日: 令和6年12月7日(土)

場所: 同志社大学 新町キャンパス

報告内容 中立船団下の便宜置籍船に対する臨検の可否について、歴史的背景、イラン・
イラク戦争時の国家実行及びサンレモ・マニュアル起草時の議論等から分析し、中立国軍
艦自国と便宜置籍国の間の協定が重要な要素であることを示した。


 

2024年12月07日

査読論文の刊行

 

著者 国防論教育室 准教授 浦口 薫

論文のタイトル 「第二次世界大戦後の海運環境の変化と海戦法規への影響」

掲載誌 『海事史研究』第81号

刊行年月日 令和6年11月30日

 第2次世界大戦後に不明確となっていた海戦の慣習法を明文化するため、1994年にサンレモ・マニュアルが作られた。同マニュアルは高い評価を得ているが、一方では帆船時代の海戦・海運環境を色濃く反映し、現代の海運環境に上手く妥当するか疑問が生じる部分もある。貨物のコンテナ化と貨物船の大型化により、洋上での臨検・捜索は困難となったが、大型X線検査装置を用いた陸上検査による代替策が考えられる。便宜置籍船の増加は、独航船と船団護送下の場合で異なる影響をもたらすが、先述の陸上検査と組み合わせた証明書発行によりいずれも改善が図られそうである。自動運航船の登場については、同船が国連海洋法条約上の「船舶」と判断されるか否かの影響は限定的であることが分かった。「古い時代の規則」であるはずの海戦法規は、その時々の科学技術の発展を取り込みつつ、進化し続けている。

 

2024年11月30日

外国シンクタンクへの協力

コンテンツ・タイトル 
Katsu Kaishu and the Foundations of the Modern Japanese Navy

掲載媒体 
英国王立防衛安全保障研究所ホームページ Podcast Talking Strategy

筆者・話者 
統率・戦史教育室 金澤裕之教授、国際関係学科 等松春夫教授

紹介文
 英国王立防衛安全保障研究所(Royal United Services Institute for Security Studies :RUSI)は、古今東西の戦略家を紹介するPodcast Talking Strategyシリーズで取り上げる日本人として勝海舟(1823-1899)を選び、日本の近代海軍建設の観点から勝海舟を研究してきた金澤教授(当時は准教授・2等海佐)に協力を依頼した。
 オンライン収録時に機材トラブルで金澤教授の音声を収録できない事態が発生し、コメンテーターとして参加していた国際関係学科の等松教授が急遽金澤教授の原稿を代読するアクシデントにも見舞われたが、欧米の軍事・安全保障研究者にあまり知られていない東アジア地域における近代海軍建設の事例として、勝海舟と幕末期の海軍建設について紹介した意義は決して小さくないと言えよう。テキスト全文と音声は下記URLで公開中である。

https://www.rusi.org/podcasts/talking-strategy/episode-3-katsu-kaishu-and-foundations-modern-japanese-navy?fbclid=IwY2xjawGmjIdleHRuA2FlbQIxMQABHXSdVracSAVMD7nfyjNJ4sOFiWDvWKs6X7EJaAMj2bwKX00Cpl3tTE2i3g_aem_Wdc57S1-wxABiCXGoU2N5g

 
 備 考
 本件は、依頼元への提供時に部外意見発表手続きを実施済み。

2024年11月18日

書籍の刊行

2024年(令和6年)11月

書名 木幡篤次郎編集委員会編『木幡篤次郎著作集』第5巻

出版社・出版年 慶応義塾大学出版会、2024年

筆者・話者 統率・戦史教育室 教授 金澤 裕之

明治期の教育者で福澤諭吉の右腕として知られた小幡篤次郎(1842~1905)初の著作集。本巻ではイギリス海軍の砲術・機関教範を小幡が翻訳した「英式艦砲全書 一~二」「舶用汽機新書 巻之一~二」および「書簡集」を収録。金澤教授は「英式艦砲全書 一~二」「舶用汽機新書 巻之一~二」の解題を担当した。

 















備考
本件は、依頼元への提供時に部外意見発表手続きを実施済み。

2024年11月18日

書評の刊行

2024年(令和6年)9月

書評タイトル 「【書評】石津 朋之、立川 京一、齋藤 達志、岩上 隆安 著『ランド・パワー原論 ―古代ギリシアから21世紀の戦争まで―』(日本経済新聞出版、2024年、448頁)

掲載誌 『防衛学研究』第71号(2024年9月)

評者  国防論教育室 准教授 浦口薫 2等海佐

本著は、ランド・パワーの体系的な説明を試みた好著です。エア・パワーやシー・パワーについて論じた著作は日本語文献も外国語文献も数多く存在しますが、ランド・パワーについての著作は、これらに比べると極めて少ない印象を受けます。まず、そのような意味で、本著には希少な価値が存在するでしょう。
本著の内容は、人間の支配や陸地の確保という海空にはない決定的な意義を有するランド・パワーの理論的な分析から、古代ギリシア・ローマ時代の戦争から現代・将来の陸上戦闘の分析も射程に入れた歴史的・実務的な分析まで、広範に及び、読者の知的好奇心を掻き立ててくれます。伝統的な機能に加えて、国内安定化等の場面でもランド・パワーの活用の場は増えており、また、ハイテク戦争とローテク戦争が混在するハイブリッド型の戦争を始め、様々な局面でランド・パワーに関する議論の重要性が増しています。これらの課題に正面から取り組んでいる本著が、ランド・パワーについて議論する際に必ず参照されるべき重要な文献であることは間違いなく、この分野に関心のある研究者や実務家に是非、お勧めしたい一冊です。

 

2024年11月01日

コロンビアへの初の陸上自衛官講師派遣と対テロワークショップ

 

  国防論教育室 准教授・2等陸佐 浦上 法久

 コロンビアは日本と太平洋を共有する南米の地域大国であり、国際的な影響力を持つ
国の一つである。日本とコロンビアは太平洋を跨ぎ、自由や民主主義、法の支配など同
じ価値観を共有する同志国である。コロンビアは30年以上にわたり、複数の反政府武
装組織と内戦を繰り広げてきた歴史を持つ。特に、2022年に左派政権が発足して以降、
政府は反政府組織との和解を進める取り組みを進めているが、実際には効果的な進展が
見られていない。これにより、国内の治安状況は依然として厳しく、コロンビア政府が
実効支配しているのは国土の4分の3の範囲である。テロ行為は活発であり、治安当局
との対立が続いている。コロンビアは1個師団規模の特殊部隊を有する。国際協力機構
(JICA)は、地雷除去支援を行っており、国際社会との連携が重要な要素となってい
る。さらに、コロンビア政府は中国の「一帯一路」に対して支持を表明していないこと
も注目すべき点である。
 令和6(2024)年7月22日から26日まで、コロンビア国防省国際局が主催する「対
テロワークショップ」に、防衛大学校グローバルセキュリティセンター兼防衛学教育学
群准教授、浦上法久2等陸佐(博士)が講師として派遣された。これは陸上自衛官がコ
ロンビアに派遣される初めての試みであり、日本とコロンビアの防衛協力の新たな一歩
を示すものである。
 ワークショップでは、参加者が対テロに関する活発な意見交換を行い、コロンビアの
現状に対する理解を深める機会となった。浦上准教授は、自衛隊のアフリカでの講師派
遣による教育経験をもとに、日本のテロ対策や地下鉄サリン事件への自衛隊化学部隊の
派遣などについて講義し、参加者とのディスカッションを通じて実践的な知識を共有し
た。
 ワークショップの後、浦上准教授はコロンビアの国家警察刑事捜査局(DIJIN)、赤
十字国際委員会(ICRC)、国防大学(ESG)、特殊作戦統合司令部、国連和平検証ミッ
ション(UNVMC)を訪問・視察を行った。これにより、現地の治安機関や国際機関と
の意見交換や資料収集を行い、コロンビアの安全保障状況に関するより深い理解を得る
ことができた。
 今回のコロンビアへの講師派遣は、防衛省・自衛隊とコロンビア国防省との間での防
衛協力の強化を目的としており、特に対テロに関する知識の共有は、コロンビアの安定
と地域の安全保障に貢献する重要な活動である。日本とコロンビアは、自由、民主主義、
法の支配といった同じ価値観を共有する同志国として、防衛協力を通じ、さらなる関係
の深化が期待される。今後も防衛省・自衛隊は、国際的な防衛協力の一環として、さま
ざまな国との連携を強化していくことが期待される。



 

 

 

 

 

ワークショップの景況①

ワークショップの景況②

  
2024年10月17日

日本とジャマイカの防衛協力の序開

 

  国防論教育室 准教授・2等陸佐 浦上 法久

 ジャマイカはカリブ海に位置する島国であり、その地理的な特徴から中米カリブ地域
の安全保障に重要な役割を果たしている。カリブ地域は、国際的な海上交通の要衝であ
り、麻薬取引や密輸といった犯罪活動の温床となりやすいため、地域全体の治安状況が
不安定になるリスクが存在している。国内に目を向けると、ジャマイカは観光業を中心
とした経済成長を遂げている一方で、都市部では犯罪率が高く、治安維持に課題を抱え
ている。こうした国内の治安問題とカリブ地域の安全保障環境の安定化に対応するため、
ジャマイカは軍の能力向上を目指しており、国際的な協力を通じて地域の安定化に寄与
する姿勢を示している。また、中米・カリブ地域全体においては、国際的な平和維持活
動(PKO)や日本との防衛協力・交流にはまだ発展の余地があり、多国間協力を通じた
安全保障協力への取り組みが求められる。このような背景のなかで、日本とジャマイカ
の防衛協力が開始されたことは、地域の安定と安全保障に対する新たな貢献を象徴して
いる。
 防衛大学校グローバル・セキュリティ・センター兼防衛学教育学群准教授、浦上法久
2等陸佐(博士)は、防衛省・自衛隊として初めて、ジャマイカ軍との防衛協力を目的
とし公式に講師として派遣された。この派遣は令和6(2024)年7月29日から8月2
日まで行われ、日本とジャマイカの防衛協力の新たなステップを踏み出す重要な機会と
なった。滞在中、浦上准教授はジャマイカのカリビアン・ミリタリー・アカデミー
(Caribbean Military Academy: CMA)において、平和活動(Peace Operation)に関
するワークショップを開催した。メイン講師として、2日間にわたり講義を行い、国際
平和協力活動に関する知識と経験を共有した。このワークショップは、ジャマイカを含
むカリブ地域における国際的な平和維持への取り組みを強化するための重要な一歩で
あった。
 今回の派遣の意義は、第一に、日本とジャマイカ間の防衛協力を初めて正式に立ち上
げる機会となったことである。特に、平和維持活動に関する教育が中心となることで、
国際的な安全保障への取り組みに重点が置かれている。ジャマイカは国連PKOへの派
遣経験が少ないため、この協力が同国の国際的な平和活動への参画を深める契機となる
ことが期待される。
 第二に、カリビアン・ミリタリー・アカデミーにおける国連PKOに関する教育カリ
キュラム作成の支援である。同アカデミーは中南米諸国やアフリカなど35カ国から軍・
警察・政策実務者などを留学生として受け入れており、国際的な教育機関としての役割
を果たしており、中米・カリブ地域における教育・研究拠点(Center of Excellence)
である。
 さらに、CMAのメイン・ドナーはカナダであり、アメリカ南方軍やイギリス軍もCMA
に講師を派遣していることから、同アカデミーは国際的な防衛協力の場として機能して
いる。このような国際的な支援の環境の中で、日本の防衛省・自衛隊がCMAとの協力
を進めることには、アメリカ、カナダ、イギリスともさらなる防衛協力を発展させる可
能性を持つものであり、多国間の安全保障関係の強化につながると考えられる。
 特にカリキュラムの中では、「Women, Peace, and Security(WPS)」への関心が高
く、ジェンダー視点を取り入れた平和維持活動の教育カリキュラムの策定を進めようと
している。WPSは国際平和活動など地域における包括的な安全保障強化に向けた重要
な要素に位置づけられる。
 さらに、カリビアン・ミリタリー・アカデミーとの協力は、浦上准教授が所属する防
衛大学校のグローバル・セキュリティ・センターとの共同研究プログラムの一環として
も意義を持つ。今後、両国間でのさらなる研究交流や防衛分野における知識の共有が期
待されており、特にインド太平洋地域の安全保障に対する多国間での安全保障協力を推
進することに寄与する可能性がある。
 今回の防衛協力の取り組みは、日本とジャマイカが共有する自由、民主主義、法の支
配といった安全保障への共通の価値を強化し、今後の多国間防衛協力の礎を築くものと
して、両国にとって大きな意義を持つものである。



 

 

 

 

 

講義景況

カリビアン・ミリタリー・アカデミー副所長Nadine Notice中佐とのギフト交換

  
2024年10月17日

書籍の刊行

2024年(令和6年)9月

書籍タイトル デジタル権威主義 ー技術が変える独裁の❝かたち❞ー

出版社 芙蓉書房

分担筆者  コラム1及び第6章翻訳 戦略教育室 准教授 野呂瀬葉子2等陸佐
      第8章 統率・戦史教育室 准教授 寺田3等陸佐

 本書は、デジタル技術が権威主義的国家の統治手法をどのように変え、強化しているかを明らかにする書籍です。最新の事例と研究を通じて、中国、ロシア、中東、東南アジア、アフリカなどでの監視・情報操作の手法が詳しく解説され、デジタル技術が監視や管理に利用され、権威主義が広がる現状を指摘しています。さらに、その理論的背景として、国際関係論、心理学、社会運動論からもデジタル技術が権威主義体制に及ぼす影響について考察を深めています。近年、後退していると言われる民主主義の未来、そして現代社会のあり方を考えるための必読書です。

 防衛学教官の分担箇所は以下のとおりです。
〇 野呂瀬准教授
・コラム1 日本のサイバーセキュリティ―政策
・第6章 ウガンダにおけるデジタル権威主義(翻訳)
〇 寺田准教授
 第8章 SNSは権威主義に対する支持を高めるのか

 

2024年10月15日

防衛大学校校内の砲台について


横須賀市は、明治期の砲台を国史跡、日本遺産として登録し、広く広報されています。
防衛大学校にも、同時期の砲台がありました。保存状態が良い砲台もあります。
これら防衛大学校校内の砲台について統率・戦史教育室員が部内誌に掲載した記事があります。
構内の砲台をお知りになりたい方はご覧ください。

統率・戦史教育室 2等空佐 由良 富士雄

2024年09月13日

書籍の刊行

2024年(令和6年)7月

書籍タイトル 陸上自衛隊員の心理的レジリエンス ―組織で働く人たちの強さと〈しなやかさ〉について考える―

出版社 風間書房

筆者  統率・戦史教育室 准教授 寺田孝史3等陸佐

 私たちは、毎日いろいろなストレスに直面しながら生きています。私は、陸上自衛隊員として、そして、メンタルヘルス担当者として明るく元気に厳しい仕事に取り組んでいた人がストレスを抱えて落ち込んでいく姿を何度も見てきました。そして、そこから回復していく姿も何度も見てきました。「どんな人にも限界はくる。そして、回復する力もある。この力は何なのだろうか。」これが、本書で取り上げる研究の出発点でした。そして、メンタル不調の予防に繋がる概念として「レジリエンス」に注目して研究してきました。
 本書は、筆者が身近な陸上自衛隊員をサポートするために何ができるかについて悪戦苦闘してきた記録です。本書で取り上げた研究では、様々な調査方法を用いました。インタビュー調査を行い、隊員の皆様から多くのことを教えていただきました。量的調査においては、縦断調査や警察職員・消防職員などとの間で職業ごとの比較も試みています。
 本書で取り上げた調査は、主に陸上自衛隊員を対象としています。しかし、そこには、陸上自衛隊員に限らず、組織の中でレジリエンスに基づくサポートを行う際にそこで働く人たちに合わせてどのようなことができるのかについてのヒントがあると考えています。

 

2024年07月25日

防衛大学校学術・教育振興会教育奨励賞受賞

 

防衛学教育学群 戦略教育室

准教授 3等陸佐 苅込 勝也
    

令和6年3月29日、防大学術・教育振興会(東京都新宿区・岡崎匠理事長)より防衛大学校において、極めて優れた教育を行った教官に授与される「教育奨励賞」に防衛学教育学群 戦略室 苅込准教授が受賞されました。

 

 


















受賞時のコメントは以下のとおりです。
「この度は、教育奨励賞を賜り、誠にありがとうございます。防衛大学校学術・教育振興会の皆様、選考委員の先生方ならびに関係各位に厚く御礼申し上げます。
今回の教育は、学生にサイバー攻撃を実際に体験してもらうという内容でしたが、教育用の器材の導入、教育時の支援等多くの先生方のご支援をいただいております。そのため今回受賞は支援いただいた皆様方のおかげであると受け止めております。
また、教育に当たっては、私が以前所属していた部隊でのノウハウが活かされており、自衛隊における教育の実効性を証明することができたと思います。
教育後、受講した学生がサイバー攻撃の脅威を実感し、「情報セキュリティマネジメント」の資格を取得する等引き続き強い関心をもってくれている姿を見て、この教育の効果を実感しています。
今回の受賞を励みとし、引き続き効果的な教育に努めてまいりたいと思います。この度は誠にありがとうございました。」
2024年05月16日

防衛学特論のレポート指導における懸案事項と浦口ゼミでの取組み

平成6年4月11日に行われた防衛学特論指導法研究会において、浦口薫2等海佐が「防衛学特論のレポート指導における懸案事項と浦口ゼミでの取組み」について発表しました。 
 防衛学特論のレポート指導に際しては、様々な懸案事項が存在します。学生は必ずしもレポート作成に対するモチベーションが高いとは限らず、中にはレポート作成の基礎が欠如している者もいます。また、文章スキルのレベルが異なる学生を同時に指導し、半年間でレポートを完成させる必要があります。これらの懸案事項に対応すべく、浦口2佐が自分のゼミ学生に実施した具体策を紹介しました。
 浦口ゼミでは、レポート作成が自分の将来に直接的に役立つこと、すなわち、中級幹部になると初級幹部では求められなかった問題認識能力や問題解決能力が求められ、レポート作成はまさにこれらを鍛えるものであることを学生に説明しました。また、「海上自衛隊の能力向上につながる研究」という緩い制約の中で各自が興味のあるテーマを自由に選択させることで、学生のモチベーション向上を図りました。
 レポート作成の基礎が欠如する学生に対しては、レポート/論文と作文/感想文の違い、リサーチクエスチョンの設定方法、論理的思考力を鍛える演習、具体的な先行研究の調べ方や論文執筆要領を丁寧に説明しました。
 文章スキルのレベルが異なる学生を同時に指導するため、個別指導を中心とする一方で、他の学生にも指導風景を聴講させ、積極的にコメントさせることで、浦口ゼミ全体としてのレベルアップを図りました。
 また、半年間でレポートを完成させるため、第1回授業でマイルストーンを提示し、5月末までにテーマ選定を、6月末までに思考過程(骨子)を、8月下旬までに本文を一度完成させ、提出期限である9月下旬までの1ヶ月間をかけて余裕をもって推敲できる態勢を取りました。これらの対応をとることで、浦口ゼミでは学生のモチベーション向上とレポートの質の向上に努めていました。
最後に、浦口2佐は「レポート指導には、学生の成長を間近に感じられたり、熱心な指導により冴えなかった学生が突然輝き出す場面に遭遇できるといった教える側の醍醐味もある。指導は大変だが、それ以上に教官もやりがいを感じられる科目というポジティブな捉え方をして欲しい」と参加した教官にエールを送り、発表を締めくくっていました。

       浦口2等海佐の発表景況

2024年05月15日

討論形式の授業を通じたアクティブ・ラーニングの推進

平成6年4月10日に行われた学群教育・研究発表会において、浦口薫2等海佐が「討論形式の授業を通じたアクティブ・ラーニングの推進」について発表しました。内容は国防論の授業に討論を取り入れ、アクティブ・ラーニングの推進を図るものでした。
 アクティブ・ラーニングとは、学修者が能動的に学ぶことによって、認知力、倫理力、社会的能力、教養、経験などの汎用的能力の向上や育成を目指すものです。防大の教育訓練の目的には「伸展性のある資質」を育成するとの記述があります。同資質は解決方法が明確でない任務を遂行したり、問題を含んだ環境の中で状況を改善しつつ任務を達成する能力を含むと考えられます。アクティブ・ラーニングは「伸展性のある資質」の育成と適合性が高く、討論を通じて向上可能と考えられます。
 浦口2佐は、国防論の第1回授業時、学生に、核兵器の威嚇・使用の妥当性と無制限潜水艦戦の妥当性の2つのテーマを提示しました。テーマは、国防について多面的に考える契機となり、議論に賛否の主張が未だに存在するものという観点で選定しています。学生の自発的な研究を促すため、国会図書館ツアーを計画して学生の情報アクセス能力や学習モチベーションの向上を図ったり、学生間での事前研究会を実施させチームでの問題解決能力の向上を図りました。
 討論は、全学生を討論実施者とオーディエンスに区分し、討論実施者は論旨賛成側のAチームと反対側のBチームに区分して実施しました。討論の構成は、最初にA・Bチームが各チームの立場を主張、次いで相手主張に対し反論し、最後に相手反論に対する再反論を実施する形で実施し、オーディエンスとの質疑応答を経て、オーディエンスの挙手により勝利チームを決定しました。オーディエンスにはオーディエンス・シートを配り、各チームの発表を評価させました。オーディエンス・シートの記入を通じ説得力のある主張を理解させることができました。また、討論全般を通じて、1つの問題にも多面的な見方があり答えは決して1つではないことを学生に実感させることができました。
 討論を通じたアクティブ・ラーニングの導入により、問題解決能力の向上、情報アクセス能力やチーム問題解決能力の向上、問題の多面性の体感等、学生が得たものは少なくなかったと思われます。浦口2佐は、「単に授業で討論を実施したのみに留まらず、討論というアクティブ・ラーニング形式の授業の導入やその実施に向けた準備を通じ、学生の『伸展性のある資質』向上に寄与できた」として発表を締めくくっていました。

        浦口2等海佐の発表景況

2024年05月15日

令和6年度防衛学教育学群持論レポート指導法研究会

令和6年度防衛学教育学群特論レポート指導法研究会の実施について

令和6年4月18日

1 防衛学教育学群では、令和6年4月11日(木)、防衛学特論レポート指導法に関する研究会を実施し、学生の論文指導に当たっての教授法の向上を図りました。

2 実施日時
  R6年4月11日(木)

3 場 所: 防衛学館内(121番教場)

4月11日(木)1415-1540
1420-1430 浦上法久2等陸佐(国防論教育室)  「レポート評価法」
1430-1455 浦口薫2等海佐(国防論教育室)    「特論指導法」
1455-1520 篠崎正郎3等空佐(戦略教育室)    「特論指導法」
1520-1610 竹内建一3等陸佐(統率・戦史教育室) 「特論指導法」
1610-   学群長講評

                竹内3等陸佐の発表景況

2024年05月09日

令和6年度防衛学教育学群研究発表会

令和6年度防衛学教育学群研究発表会の実施について

令和6年4月18日

1 防衛学教育学群では教官の研究成果発表会を実施いたしました。本研究会では教官の専門研究や教授技法の工夫について、知見 の共有および教官相互の啓発を図ることを目的とし、8名の教官がそれぞれ専門研究の成果について発表し、活発な質疑応答が行 われました。

2 実施日時
  R6年4月10日(水)~11日(木)

3 場 所: 防衛学館内121番教場

4 発表者及び発表題名
(1)10日(水)「学群教育・研究発表会」
1320-1350 岩村研太郎3等陸佐(統率・戦史教育室)
「戦前期日本における陸海軍協同作戦の体制構築の研究」
1350-1420 加瀬典文2等空佐(国防論教育室)
「防衛力の強靭化としてのシェルター」
1430-1500 竹内建一3等陸佐(統率・戦史教育室)
「硫黄島戦史教育におけるデジタルアーカイブの活用」
1500-1530 浦口薫2等海佐(国防論教育室)
「防衛学教育でのアクティブラーニングについて」
1530-1600 松尾聡成1等海佐(戦略教育室)
「リーダーシップ教育における『7つの習慣』の活用」

(2)11日(木)
1315-1345 由良富士夫2等空佐(統率・戦史教育室)
 「校内砲台整備の現状と将来展望-横須賀市との連携」
1345-1415 村田真理2等陸佐(統率・戦史教育室)
 「国際法上の自衛権発動要件の武力攻撃概念に関する研究」
1415-  学群長講評 空将補 久保田隆裕

司会: 浦上法久2等陸佐(国防論教育室)

        由良2等陸佐の発表景況

         竹内3等陸佐の発表景況

      防衛学教育学群長久保田空将補の講評

          久保学校長の講評

2024年05月09日

書評の刊行

2024年(令和6年)3月

書評タイトル クリストファー・ブラッドマン著(神月謙一訳)『戦争と交渉の経済学ーー人はなぜ戦うのか』(草思社、2023年、456項)

掲載誌 『防衛学研究』第70号

筆者  統率・戦史教育室 准教授 小島 雅之 2等陸佐

本書評は、2022年に米国のヴァイキング社(Viking Press)から出版された原書Why We Fight: The Roots of War and the Paths to Peace の邦訳版について評したものである。
本書の最大の特徴は、これまで多くの研究者によって提示されてきた戦争の発生に関する諸理論を、集団を平和から戦争へと傾ける5つの要因として類型化するという野心的なプロジェクトに挑んだ点にある。また、類型化に当たっては、戦争による紛争の解決は交渉によって平和的に解決する場合に比べて期待利得が少ないため戦略的に行動する集団は戦争を回避しようとするという、ゲーム理論の考え方を基にして議論を進めているが、平易な表現を使って説明しているため、ゲーム理論を知らない初学者でも容易に理解できるようになっている。このため、戦争や平和について学ぶ際の入門書として好適な一冊である。
本書評では、まず本書の内容についてその概要を紹介した後、本書の意義と課題、特に戦争発生原因の類型論として見た場合の課題について評した。

 

2024年03月31日

査読論文の刊行

2024年(令和6年)3月

論文のタイトル SNSは権威主義に対する支持を高めるのか ー権威主義的パーソナリティー研究から考えるー

掲載誌 『防衛学研究』第70号

統率・戦史教育室 准教授 寺田 孝史 3等陸佐

 近年、民主主義の後退、政治の権威主義化に注目が集まっている。この動向に関して、権威主義的なリーダーや政党、そして権威主義体制を支持する者の心理については「権威主義的パーソナリティ」という概念がある。他方、デジタル技術、特にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が人間心理に及ぼす影響についての心理学的研究も進んでいるが、権威主義的パーソナリティとSNSとの関連性を扱った研究は限定的である。
そこで、本稿では、「SNSは権威主義に対する支持を高めるのか」を問いとし、権威主義的パーソナリティ概念の整理を行った上で、SNSが権威主義の支持にどのように影響を及ぼすのかを明らかにすることとした。そして、SNSのアルゴリズムが、フィルターバブル、エコーチェンバーという現象を生み出す結果、閲覧する人々の感情や思考を特定の方向に誘導する確証バイアスを生起させるというメカニズムが権威主義を支持する過程に影響を与えることを示した。
最後に、限られた条件下であるもののSNSが権威主義化に向かわない社会に対しても促進要因として果たしうる可能性について言及した。

 

2024年03月31日

図書の出版

2024/3/1刊行

著書のタイトル『Q&Aで読む日本外交入門』

戦略教育室 准教授 篠﨑 正郎 3等空佐

著書の内容

ペリー来航から米中対立の現在まで、日本の外交はどのように行われてきたのかを論じた図書です。戦前・戦後・現代の3部構成で60の問いにわかりやすく答えており、歴史・政治・経済・安全保障の諸問題を解説しています。未来の日本外交を考える手引きとなる恰好の入門書であり、高校生からお読みいただけます。
篠﨑准教授は、「戦後編」の「Q34:サミットへの日本の関わり方はどうなっているのですか」と「現代編」の「Q50:日本とヨーロッパとの関係について教えてください」を執筆しました。

 

2024年03月01日

図書の出版

2024/2/24刊行

著書のタイトル『国際安全保障がわかるブックガイド』

戦略教育室 教 授 坂口 大作 元1等陸佐
      准教授 篠﨑 正郎 3等空佐

著書の内容

 国際安全保障学会の創立50周年を記念して刊行された文献案内です。123冊の文献について、安全保障の観点から読み解くものです。本書は、国際安全保障学会員のしかるべきメンバーによって執筆されており、紹介されている書籍は、安全保障に携わる研究者、実務者、学生にとって必読に値するものばかりです。
坂口教授はハンナ・アーレント『新版 エルサレムのアイヒマンー悪の陳腐さについての報告』(大久保和郎訳)みすず書房、2017年を、篠﨑准教授は高坂正堯『近代文明への反逆―「ガリヴァー旅行記」から21世紀を読む 新装版』PHP研究所、1998年を紹介しています。圧巻ながら価格も2,200円(税込み)と破格です。

 

2024年02月24日

スウェーデンのシンクタンクへの論考寄稿

2024/2/14掲載

論考のタイトル

Japan’s Strategic Messaging for a ‘Free and Open International Order (FOIO)’: Can It Preserve its Indo-Pacific Achievements?

掲載先リンク

PDFリンク

掲載媒体 スウェーデン安全保障開発政策研究所(ISDP)ウェブサイト Focus Asia

統率・戦史教育室准教授 相澤輝昭

 成蹊大学文学部国際文化学科 墓田桂教授、UAEハリファ大学 ブレンドン・J・キャノン助教授との共著により、本年1月、印シンクタンクORFに寄稿した論考をより分析的に記述したものであり、日本が提唱して来た「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」と最近になって外交上のメッセージとして主用されるようになってきた「自由で開かれた国際秩序(FOIO)」との関係について考察、日本の戦略的情報発信の課題について論じています。

 


2024年02月14日

ベナン共和国への自衛官講師派遣

【ブリーフィング・メモ】 

国防論教育室 准教授 浦上法久2等陸佐               

令和6年2月

日本の対アフリカへの防衛協力
-ベナン共和国への自衛官講師派遣-

防衛大学校

浦上法久

ガーナ共和国のコフィ・アナン平和維持活動訓練センター(The Kofi Annan International Peacekeeping Training Centre : KAIPTC)は、2024年2月5日(月)~2月9日(金)の間、ベナン共和国のコトヌーにおいて「Preventing Violent Extremism, Radicalisation and Small Arms Proliferation in the Sahel and adjoining Coastal Countries in West Africa(西アフリカのサヘルと隣接する沿岸諸国における暴力的過激主義、過激化、小型武器(Small Arms and Light Weapons: SALW)拡散の防止)」をテーマとする能力強化コースを開催した。

 

教育コース開講式の様子

 浦上法久防衛学教育学群准教授・2等陸佐は、本能力強化コースに講師として派遣され(派遣期間は、令和6年2月2日(金)~2月11日)、「Terrorism: Why People and Societies Radicalise?(テロリズム-人及び社会はなぜ過激化するのか?)」をテーマに講義を行った。

 

 

講義景況

コフィ・アナン平和維持活動訓練センターは、現在の西アフリカ地域における安全保障上の課題-暴力的過激主義、コミュニティの過激化、小型武器の拡散-に対して2022年11月、西アフリカ7カ国(ベナン、トーゴ、ガーナ、コートジボワール、ニジェール、マリ、ブルキナファソ)によって、テロ、暴力的過激主義、小型武器の拡散、密売の防止と対策に向けた多国間政策合意である「アクラ・イニシアティブ(Accra Initiative)」の履行に向け、能力強化プロジェクトを実施している。サヘル地域は現時点でテロの頻発地域のひとつであり、テロによる世界の死者数の43%を占めている。テロを引き起こす暴力的過激主義はマリからブルキナファソへと拡大し、この2カ国だけでサヘル地域で生起しているテロ事件の過半数(58%)を占める。
暴力的過激主義は、さらにコートジボワール、ベナン、トーゴといった沿岸諸国にも徐々に拡散している兆候が見られるようになった。暴力的過激主義グループは、マリ、ニジェール、ブルキナファソで軍の施設から小型武器を盗み出し、あるいは略奪するなどし、2017年以降では、即席爆発装置(IED)の使用が、サヘル及び西アフリカ地域へと拡がっているが、これは暴力的過激主義が南下・東進していることを示すものである。マリ北部で多用されたIEDがブルキナファソやニジェール、最近ではコートジボワールでも使用されるようになっている。懸念すべきは、こうしたIEDが中央アフリカのような地理的に隣接しない国でも使用されるケースが見られるようになっている点にある。このような暴力的過激主義の拡散と浸透は、コミュニティを過激化させ、社会的結束を分断させることになる。アクラ・イニシアティブに参加している西アフリカ諸国が、暴力的過激主義の拡散を食い止め、テロ事件の減少に務めようと努めているが、これはテロをはじめとする暴力的過激主義が、国家安全保障にとって脅威となっているためである。

コフィ・アナン平和維持活動訓練センターによる本プロジェクトは、日本政府が国連開発計画(UNDP)を通じて進めている事業である。在ベナン日本大使館の一條基信臨時代理大使は開講式でのスピーチにおいて、日本はアフリカの平和と安定に貢献するため、2008年以降、UNDPを通じてコフィ・アナン平和維持活動訓練センターに対し、累計約946万ドルを支援してきたとし、2023年5月に岸田文雄首相がガーナを訪問した際に、サヘル地域とギニア湾沿岸諸国の平和と安定への寄与と、持続可能な成長を促進することを目的に、今後3年間で約5億ドルの支援を拠出することを表明したことを強調した。西アフリカ地域が抱える安全保障上の課題-テロや暴力的過激主義の拡散と浸透、小型武器の蔓延、IEDによる一般市民を巻き込んだ無差別な被害の拡大-など、西アフリカ地域におけるテロ対策の強化に日本の財政支援は大きな役割を果たしている。

教育コース参加者への履修証書の授与

同時に、日本による西アフリカ諸国への安全保障面での関与という側面では、ベニンへの自衛官教官の派遣は今回が初めてであり、眼に見える人的プレゼンスを以って防衛協力を示した点で意義が大きい。
日本が2019年にアフリカ開発会議(TICAD 7)において提唱した「アフリカにおける平和と安定への新たなアプローチ(New Approach for Peace and Stability in Africa: NAPSA)」を具体的な形のある政策として進めるうえで、民主主義の定着や法の支配の促進、司法・行政分野の制度構築、ガバナンス強化、海上法執行機能の強化、紛争予防・平和構築、特にアフリカPKOセンターへのPKO要員の能力強化といった分野での人的プレゼンスは継続的に進めていく必要があると思われる。防衛省・自衛隊としては、既に、国連三角パートナーシップを通じた能力構築支援を継続的に進めているが、国連の枠外での二国間及び多国間の防衛協力の推進は、NAPSAを具現化していく手段となり得るものといえよう。

教育コースの景況

 

2024年02月05日

印シンクタンクへの論考寄稿

2024/1/2掲載

論考のタイトル

"Japan's evolving strategic messaging to the Indo-Pacific and beyond"

掲載先リンク

掲載媒体 Observer Research Foundationウェブサイト Expert Speak

統率・戦史教育室准教授 相澤輝昭

 成蹊大学文学部国際文化学科 墓田桂教授、UAEハリファ大学 ブレンドン・J・キャノン助教授との共著により、 2016年頃から日本が主導し提唱して来た「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」と 最近になって外交上のメッセージとして主用されるようになってきた「自由で開かれた国際秩序(FOIO)」との関係について考察し、 日本の戦略的情報発信の課題を論じています。

 

2024年01月02日

査読論文の刊行

2023/12/16刊行

論文のタイトル「戦時に紛争非当事国の海上交通が直面する脅威の変遷と対応 ―戦時に海上交通を確保するための具体策―」

掲載誌 『海事交通研究』第72集

国防論教育室 准教授 浦口 薫2等海佐

 戦時に紛争非当事国の海上交通が直面する脅威は大きく変遷してきた。第1次大戦前は海上経済戦が主たる脅威であったが、両次世界大戦では大規模な対商船攻撃や長距離封鎖等の伝統的中立法規の枠組みから逸脱した措置がみられた。第2次大戦後には海上経済戦措置と対商船攻撃の両方の国家実行が生じたが、国際社会は前者を許容した一方で後者を強く非難した。現代でも蓋然性は高くないものの大規模商船攻撃の可能性が存在し、伝統的な海上経済戦措置の生起も想定される。しかし、より蓋然性が高いのは軍事目標の要件を満たす商船への攻撃であろう。これらへの対処はそれぞれに異なる。 総じて有効なのは本国軍艦による護衛だが、各国の保有軍艦数の減少による制約を受ける可能性がある。

 

2023年12月16日

講演の実施

2023/12/16

演題「なぜいま論文を書くのか」

開催場所:東京都立白鷗高等学校 探究論文講演会

統率・戦史教育室 准教授 金澤 裕之2等海佐

講演の内容 同校の教育プログラム「探究論文」に関し高大連携の枠組で講演依頼を受け、研究者と実務者双方の経験を積んできた自身の経験を紹介しながら以下の3点を中心に講演した。 ①高校生の段階で論文を書く意義は考察の結果として導き出される答えや発見そのものではなく、リサーチ・クエスチョンの立て方、研究対象の考察、結論の導出などを通じた論理的思考のトレーニングという点にある。 ②こうしたトレーニングによって培われる学術知/論理的思考は、社会人になってからキャリアを切り開いていく際の知的基盤となる。 ③これらの能力は自分と異なる価値観や文化の持ち主を相手に仕事をする際、時として語学能力以上のコミュニケーション・ツールとなる。 また、これに加えて論文執筆に関して生徒から寄せられた質問・悩みへの回答・助言、希望者への個別指導を行った。

 

2023年12月16日

査読論文の刊行

2023/12/13刊行

論文のタイトル「航空自衛隊における救難組織の創設経緯―急がれた部隊建設」

掲載誌 『安全保障戦略研究』第4巻第1号

統率・戦史教育室准教授 村上 強一2等空佐

 1954 年 7 月、航空自衛隊は発足するが、 1954 年度を初年度とする警備 5 か年計画をもと建設しようとした航空部隊は、 直接侵略に対処する装備を目指したものであり、航空機搭乗員の損耗を防ぐ捜索救難にも配慮したものではなかった。ところが航空自衛隊は 1958 年 3 月、 まだ計画になかった救難部隊を急遽、浜松基地に設立する。本稿は、国立公文書館に保管されている日本政府の記録等を用い、その理由が「航空事故の多発」、 「航空自衛隊による対領空侵犯措置任務の開始」、 「米空軍救難部隊の本国への撤退」、「ICAO加盟国としての義務」にあったことを再検証した。

 

2023年12月13日

コフィ・アナン国際平和維持訓練センターへの講師派遣

2023/11/18

国防論教育室 准教授 浦上 法久2等陸佐

 戦時に紛争非当事国の海上交通が直面する脅威は大きく変遷してきた。第1次大戦前は海上経済戦が主たる脅威であったが、両次世界大戦では大規模な対商船攻撃や長距離封鎖等の伝統的中立法規の枠組みから逸脱した措置がみられた。第2次大戦後には海上経済戦措置と対商船攻撃の両方の国家実行が生じたが、国際社会は前者を許容した一方で後者を強く非難した。現代でも蓋然性は高くないものの大規模商船攻撃の可能性が存在し、伝統的な海上経済戦措置の生起も想定される。しかし、より蓋然性が高いのは軍事目標の要件を満たす商船への攻撃であろう。これらへの対処はそれぞれに異なる。 総じて有効なのは本国軍艦による護衛だが、各国の保有軍艦数の減少による制約を受ける可能性がある。

 

2023年11月18日

講演の実施

2023/11/13、20、27開催

演題「幕末と海軍」

開催場所:横須賀市開国史研究講座 於、ヴェルク横須賀

統率・戦史教育室 准教授 金澤 裕之2等海佐

講演の内容 大学と地方公共団体の地域連携として横須賀市文化振興課から依頼を受け、 横須賀市民を対象に幕末期における日本の近代海軍建設の概要、横須賀と幕末海軍の関係、現在に至る後世への影響などについて全3回の講演を実施した。

 

2023年11月13日

国防論教育室准教授 浦口 薫2等海佐 猪木正道賞奨励賞を受賞

 

2023/10/23

国防論教育室 准教授 浦口 薫2等海佐

 防衛学教育学群准教授の浦口薫2等海佐が、日本防衛学会・猪木正道賞奨励賞を受賞し、令和5年10月22日(日)に実施された第6回猪木正道記念・安全保障研究会の中で受賞式が行われました。 猪木正道賞は、わが国の防衛と安全保障並びに国際平和に関する分野における学術研究の振興並びに広く研究者の育成に寄与することを目的として、優れた業績を上げた個人またはグループに対し授与されます。 今回の浦口2等海佐の受賞は、本年3月に出版した単著『封鎖法の現代的意義 -長距離封鎖の再評価と地理的限定-』(大阪大学出版会)が評価されたことによるものです。 同書は、2度の世界大戦で英国が実施した長距離封鎖の合法性と海上封鎖の現代的意義をめぐる論争に一石を投じ、海上封鎖の統一的な評価基準の提示を試みたものです。 浦口2等海佐は、現在も防衛学教育学群で教育と研究に精力的に取り組んでおり、今後、益々の活躍が期待されます。今回の受賞に際して、本人からのコメントは以下のとおりです。 「執筆に際しては、私自身の海上勤務で得た知見をふんだんに盛り込むとともに、通説に果敢に挑んで新しい理論を提示する等、実務的にも学問的にも十分な議論に耐えうるものを目指しました。この努力が受賞という形で評価されたことを大変嬉しく思っております。指導・助言をして下さった皆さまや長期にわたり応援して下さった皆さまに、この場を借りてお礼を申し上げます。今回の受賞を励みに今後もより一層真摯に教育と研究に精進していきます。今回の受賞が後輩達の励みになり、私のチャレンジ精神を受け継いでくれれば、これほど嬉しいことはありません。」

 

2023年10月23日

自衛隊香川地方協力本部への講師派遣

 

2023/9/12

国防論教育室 准教授 浦上 法久2等陸佐

 令和5年8月19日(土)自衛隊香川県地方協力本部が主催した防衛大学校説明会に国防論教育室准教授・2等陸佐 浦上法久を派遣し、模擬授業と参加者との懇談を実施しました。 高松サンポート合同庁舎において開催された防衛大学校説明会では、21名の参加者を対象に、防衛大学校の概要や卒業後の勤務について説明が行われ、そして浦上2佐による模擬授業と懇談が行われました。 模擬授業では国際情勢と安全保障について取り上げましたが、参加者からは「入学後の授業がイメージ出来た」、「楽しかった」、「もう少し授業を受けたかった」など好評であり、防衛大学校への理解の促進し、参加者の入校への意欲の向上も図ることが出来ました。 懇談会はラウンドテーブル形式のフリースタイルで、参加者からは受験対策、学内での就学・生活環境、防大卒業後の勤務など様々な内容の質問が寄せられました。こうした取り組みは自衛隊や防衛大学校への理解を深めるうえで有意義であり、防衛学教育学群は引き続き講師派遣を進めてまいります。

 

2023年09月12日

査読論文の刊行

 

2023/9/1刊行

論文のタイトル「イギリスがフォークランド紛争から得た教訓―イギリス政府内での議論を中心に」

掲載誌 『軍事史学』第59巻第2号

戦略教育室 准教授 篠﨑 正郎3等空佐

論文の内容 1982年に発生したフォークランド紛争の教訓については、これまで様々な議論が交わされてきたが、 それらはあくまで識者の個人的見解に過ぎず、イギリス政府としてどう捉えていたかを明らかにするものではなかった。 本稿は、イギリス公文書館において公開された史料に基づき、①域外作戦、②抑止の失敗、③戦争指導、④兵站支援、⑤装備品に 論点を絞ってイギリス政府内での議論を解明した。

 

2023年09月01日

図書の出版

2023/7/4刊行

著書のタイトル「つなぐ世界史 2 近世」

統率・戦史教育室 准教授 金澤 裕之2等海佐

著書の内容

地域をつなぐ/過去と現在をつなぐ/歴史への様々な「思い」をつなぐ/最新の研究成果と市民をつなぐ/次世代の未来につなぐなど、「つなぐ」をテーマにした全3巻シリーズの第2巻。 第2巻は近世を対象に海賊、漂流民、銀の流通、種子島など日本と世界をつないだ人、モノ、地域を取り上げる。金澤准教授は第4章第6節「武器はめぐりくる―19世紀半ばの武器移転と幕末日本―」を担当した。

 

2023年07月04日

図書の出版

2023/4/21刊行

著書のタイトル「幕末維新史への招待」

統率・戦史教育室 准教授 金澤 裕之2等海佐

著書の内容

幕末維新史研究の最前線で活躍する気鋭の研究者が、それぞれの専門分野から、研究上の到達点を一般向けにわかりやすく紹介。 「時代を変えた英雄たち」といった視点ではなく、幕末維新期における朝廷・幕府などの諸勢力や当時の社会状況、事件・戦争について、「一般には○○と思われているが、研究上では△△ということがわかってきている」 という切り口で、当時の日本と日本を取り巻く国際環境を理解する。金澤准教授は第14章「幕府海軍は明治政府へ引き継がれたのか?」を担当した。

 

2023年04月21日

図書の出版

2023/4/20刊行

著書のタイトル「幕府海軍―ペリー来航から五稜郭まで―」

統率・戦史教育室 准教授 金澤 裕之2等海佐

著書の内容

ペリー来航などの「西洋の衝撃」を受け、1855年に創設された幕府海軍。長崎海軍伝習、勝海舟らによる咸臨丸の太平洋横断航海、幕長戦争などを経て日本初の近代海軍として成長してゆく。 鳥羽・伏見の戦いにより徳川政権は瓦解し、五稜郭で抵抗を続けた榎本武揚らも敗れてその歴史的役割を終えるが、人材や構想などの遺産は明治海軍へと引き継がれていった。 歴史研究者・現役海上自衛官の2つの視点を持つ筆者が、幕府海軍を歴史と軍事の両面から描いたもの。

 

2023年04月20日

航空幕僚監部科学技術官講話「航空自衛隊の科学技術」

2022/1/28、2023/01/17

防衛大AVホール

防衛学教育の一環として、航空幕僚監部科学技術官(1等空佐大谷康雄)を招き、第4学年航空要員の学生へ講話を行いました。 講話は、「航空自衛隊の科学技術」として、学生に先端科学技術を取り入れた航空自衛隊の将来像を考察し、航空自衛隊の取組みについて理解を得ることを目的として実施されました。 講話では、次期戦闘機の開発をはじめとした装備品等の開発状況を紹介し、先端科学技術の動向を紹介するとともに、さらに、航空自衛隊のイノベーションに向けた活動について、事例を示しながら解説されました。 これにより、今後の航空自衛隊の装備品の方向性や、学生が卒業後に何をなすべきかについて動機づけの一つとなり、将来の幹部自衛官育成の資となりました。

 

2023年01月17日

エチオピア国際平和支援訓練研究センターへの国際コンサルタント派遣

2022/8/06~8/19

エチオピア連邦民主共和国国際平和支援訓練研究センター(Federal Democratic Republic of Ethiopia - International Peace Support Training Institute:FDRE-IPSTI)

統率・戦史教育室 准教授 2等陸佐 浦上法久

エチオピア平和支援訓練研究センターから、「紛争後復興コース」(2022年8月6日から8月19日の間アフリカ各国が参加)の 開催にあたり、防衛省・自衛隊に国際コンサルタント兼講師として派遣依頼がありました。 これに応じ、防衛大学校防衛学教育学群・准教授の浦上法久2等陸佐を派遣しました。 浦上2佐は、同センターにおいて「紛争後復興コース」の運営支援及び講義等を実施しました。 「紛争後復興コース」ではエチオピアをはじめとして5カ国から30名が参加し、紛争理論や紛争分析等の実践的内容を教育しました。 同センターからは、防衛省・自衛隊からの継続的な支援に対し、高い評価を得ており、今後とも取組を継続していきます。

 

2022年08月06日

令和4年度夏季防衛学教育学群教育研究発表会

2022/7/28

防衛大学校防衛学館

令和4年7月28日、防衛学教育学群は、所属教官による研究成果の発表会を実施しました。 8名の教官がそれぞれの専門分野における研究成果を報告し、活発な議論が行われました。

発表者とテーマ

山口勇准教授(2等陸佐)
〔テーマ〕米国モザイク戦研究成果の陸上自衛隊への勘合性について―懸念事項、概念、方策の観点から―

 

佐藤健教授(1等陸佐)
〔テーマ〕 警察予備隊制服組トップ人事の背景 ―軍歴がなく、警察官僚でもない文官はなぜ警察予備隊総隊総監(幕僚長)になったのか―

 

𠮷春隆史教授兼統率・戦史教育室長(1等陸佐)
〔テーマ〕 軍事組織リーダーの人間力に関する一考察

 

 

苅込勝也准教授(3等陸佐)
〔テーマ〕 防衛大学校のサイバー戦教育における国家資格の活用

 

 

中澤信一准教授(2等海佐)
〔テーマ〕 深海600mからの船体揚収と船内捜索の概要

 

 

佐藤伊知郎准教授(2等陸佐)
〔テーマ〕 認知領域での戦い―人間の思考システムからのアプローチ―

 

 

竹内健一准教授(3等陸佐)
〔テーマ〕 令和5年度防衛学シラバス策定に資する検討報告について

 

 

【講評】北川英二教授兼防衛学教育学群学群長(空将補)

 

 

〈実行委員長〉木原淳教授兼防衛学教育学群副学群長

 

 

 

〈司会〉佐藤健教授(1等陸佐)、佐藤伊知郎准教授(2等陸佐)、五十嵐隆幸准教授(3等陸佐)

 

2022年07月28日

図書の出版

2021/9/17刊行

著書のタイトル「大陸反攻と台湾―中華民国による統一の構想と挫折」

国防論教育室 准教授 五十嵐 隆幸

著書の内容

米中両大国のはざまで見落とされてきた台湾の「大陸反攻」をはじめて解明した。 大陸奪還と中国統一を目標に展開された軍事・外交政策の実像とその変容を、「蔣経国日記」など最新の資料から浮き彫りにするとともに、 今日の東アジア国際政治の最大の焦点となっている台湾海峡危機の全体像を歴史的視野で描き出した

 

2021年09月17日

令和3年度夏季防衛学教育学群教育研究発表会

2021/7/27

防衛大学校防衛学館

令和3年7月27日、防衛学教育学群は、所属教官による研究成果の発表会を実施しました。11名の教官がそれぞれの専門分野における研究成果を報告し、活発な議論が行われました。

発表者とテーマ

吉村一彦教授(1等空佐)、甘中晴彦准教授(2等海佐)
〔テーマ〕作戦関連教育の見直しについて

 

天貝崇樹准教授(3等空佐)
〔テーマ〕WW2英独電子戦を中心とした電子技術と応用について

 

横尾欣彦准教授(3等陸佐)
〔テーマ〕満洲中央銀行の機能及び役割に関する研究

 

 

中澤信一准教授(2等海佐)
〔テーマ〕尖閣周辺海域における中国海警局に所属する船舶の派遣行動パターンについて

 

 

高橋一成准教授(2等陸佐)
〔テーマ〕領域横断作戦における陸上戦力の役割

 

 

山口勇准教授(2等陸佐)
〔テーマ〕「陸上作戦」教育資料改訂について

 

 

大谷正道教授(1等陸佐)
〔テーマ〕ボードゲームを使用した効果的な学生教育の研究

 

 

佐藤健教授(1等陸佐)
〔テーマ〕平成末期における自衛官募集難の状況について―何が自衛官募集難を生起させたのか―

 

 

川嶋隆志准教授(2等海佐)
〔テーマ〕自衛隊のオペレーションへのWPS(女性・平和・安全保障)の導入-マッキンゼーの7Sによる豪国防軍と自衛隊との比較・分析から―

 

 

寺嶋太郎准教授(2等海佐)
〔テーマ〕第10回新任教員セミナー参加報告

 

 

司会 佐久間一修准教授(2等空佐)、五十嵐隆幸准教授(3等陸佐)

企画 田中誠教授

講評 北川英二教授(空将補)

 

2021年07月27日

令和2年度統率・戦史教育室研究発表会

2021/3/16

防衛大学校防衛学館

令和3年3月16日、統率・戦史教育室では教官の専門性の深化と教育の質的向上を目的に教官研究成果発表会を実施しました。 5名の教官がそれぞれの専門分野において研究成果を報告し、他の教育室や総合安全保障研究科からの聴講者から多くの質問やコメントなどあり、活発な学術的議論が行われました。

時程及び発表者

1310~1345 矢動丸敦3等陸佐「セキュリティ・リソースの制約を考慮した施設警備モデル」 施設の警備、特に監視を行う上で最小人員の配置パターンをゲー ム理論と数理モデルを使って均衡解(ナッシュ均衡)を解析し、 検証した成果について報告。

 

1425~1500 高橋哲一郎2等海佐
「明治初期の海軍志願兵と地域の関係」 日本海軍の創設以降、海軍兵員の募集はどのように進められたの か。国民意識の変化や地域社会と海軍との関係も視野に入れた研 究成果を報告。

 

1500~1535 相澤輝明准教授
「戦後安保史(自衛隊史)研究の課題―史料保存と行政文書管理 の関係から―」 戦後の自衛隊史の研究上の課題として行政文書の管理体制、個人 保有の日誌などの資料価値を見直し、歴史的な政策評価や研究が 行える体制の必要性を指摘し、解決すべき問題を整理して報告。

 

 

1535~1610 五十嵐隆幸3等陸佐
「目指せ!査読付きジャーナル掲載―「ミリタリー・メソッド」の 紹介―」 研究を進めるうえで、学会発表や査読論文の掲載までのプロセス について紹介・普及。 司会・進行 2等陸佐 浦上法久
発表会講評 統率・戦史教育室長1等陸佐 貴島康二

 

 

2021年03月16日

脚本協力(『ゴルゴ13』)

2020/9/10・2020/9/25

掲載雑誌 『ビッグコミック』 2020年第17号及び第17号

国防論教育室 教授 渡邊 優

原稿作成

(アルゼンチン軍政時代の精算を めぐる復讐劇)

 

 

2020年09月10日

令和2年度防衛学教育学群教育研究発表会

2020/07/03

防衛大学校防衛学館

統率・戦史教育室 准教授 徳田3海佐 
「軍令の運用実態に関する研究(明治40年-昭和12年)」

国防論教育室 教授 長合1陸佐 
「無人装備研究開発の現状と日本における課題と提言」

戦略教育室 准教授 甘中2海佐 
「太平洋戦争期の日本の海上交通の崩壊と経済統制」

戦略教育室 准教授 亀田3陸佐 
「統率(リーダーシップ)における産業カウンセリングの活用」

防衛学群所属教官に対し、教官教育研究の成果を発表

 

2020年07月03日

図書の監修

2020/6から2021/3まで

著書のタイトル「SDGsのきほん 未来のための17の目標」

国防論教育室 教授 渡邊 優

著書の内容

SDGsとはなにか、なぜ今SDGsが必要なのかを 1巻でまとめ、SDGsの17個の目標ひとつ ひとつを、2~18巻で各1冊かけて手厚く解説

 

2020年06月01日

図書の出版

2020/03/10

著書のタイトル「グアンタナモ アメリカ・キューバに刺さった棘」

国防論教育室 教授 渡邊 優

著書の内容

「グアンタナモ海軍基地」をめぐる米国と キューバの関係について調査した成果を まとめたもの

 

2020年03月10日

エチオピアPKOセンターへのコンサルタント派遣 

2020/03/06~3/15

エチオピア平和支援研究センター(FDRE-PSTI)

統率・戦史教育室 准教授 2等陸佐 浦上法久

 エチオピア平和支援研究センター(FDRE-PSTI)から、同センターの機能向上の一環として「対話・交渉・仲介コース」の教育コースの実施に向けた基本カリキュラム作成の要請がありました。 これに応じ、防衛大学校防衛学教育学群・准教授の浦上法久2等陸佐を国際コンサルタントとして2020年3月6日~15日の間、同センターへ派遣しました。 浦上2佐は、同センターにおいて「対話・交渉・仲介コース」の教育カリキュラムの作成し、完成したカリキュラムをセンター長に手交しました。 同教育カリキュラムは、エチオピアをはじめとするアフリカ各国が地域内の紛争に対応する要員育成のため、エチオピア平和支援研究センターで実施する教育とあわせ、 紛争理論、紛争分析、国際法及び紛争解決のための対話・交渉・仲介など実践的内容を教育する内容となっています。 同センターからは、防衛省・自衛隊からの継続的な支援に対し、高い評価をいただいており、今後とも取組を継続していきます。

 

2020年03月06日

エチオピア国際平和支援訓練研究センターへの国際コンサルタント派遣

2020/3/06~3/15

エチオピア連邦民主共和国国際平和支援訓練研究センター(Federal Democratic Republic of Ethiopia - International Peace Support Training Institute:FDRE-IPSTI)

統率・戦史教育室 准教授 2等陸佐 浦上法久

エチオピア平和支援訓練研究センターから、「紛争後復興コース」(2022年8月6日から8月19日の間アフリカ各国が参加)の 開催にあたり、防衛省・自衛隊に国際コンサルタント兼講師として派遣依頼がありました。 これに応じ、防衛大学校防衛学教育学群・准教授の浦上法久2等陸佐を派遣しました。 浦上2佐は、同センターにおいて「紛争後復興コース」の運営支援及び講義等を実施しました。 「紛争後復興コース」ではエチオピアをはじめとして5カ国から30名が参加し、紛争理論や紛争分析等の実践的内容を教育しました。 同センターからは、防衛省・自衛隊からの継続的な支援に対し、高い評価を得ており、今後とも取組を継続していきます。

 

2020年03月06日

募集広報のための職員派遣 

2020/03/01

愛知地方協力本部

国防論教育室 准教授 2等空佐 中村 鋭介

防衛大学校最終合格者に対する防衛大学校の説明及び懇談

 

2020年03月01日

株式会社 電通の依頼に基づく特別講演

2020/01/15

株式会社 電通

国防論教育室長 教授 1等海佐 河上 康博

電通内研修プログラムにおける電通社外研修者及び電通社員に向けた特別講演

 

2020年01月15日