査読論文の刊行
著者 国防論教育室 准教授 浦口 薫
論文のタイトル 「日本の現状を踏まえた病院船に関する一考察 -武力紛争時の運用の考慮-」
掲載誌 『海事交通研究』第73号
刊行年月日 令和6年12月11日

病院船については、国内に一定の先行研究の蓄積があるものの、それらのほとんどは災害時の活用を検討するのみで、武力紛争時の運用を考慮していない。この点は日本国内の先行研究の顕著な特徴である。しかし、米戦略問題研究所が公開した台湾有事に関する報告書が示す海上自衛隊艦艇の被害状況を基に見積もったところ、1,000名以上の死傷者が発生する可能性があることが分かった。このような状況では、病院船の運用は必須といえよう。病院船の運用に際し、国際法の観点からは、識別、暗号使用及び自衛手段に関する課題が存在し、これらを考慮した設計や運用が必要となる。日本の病院船の保有形態にはいくつかの案が考えられ、今後は早期の実現に向けて、現実的かつ技術的な見地からも検討する必要がある。