査読論文の刊行

2025年(令和7年)8月29日

論文タイトル  小川教授「宮古島・第二八師団の島嶼守備要領の解明-兵力密度の高い水際縦深配備・全縦深撃滅の追求-」
        福本准教授「ルソンかレイテか―比島地上決戦正面変更の葛藤に見る日本陸海軍用兵思想―」

掲載誌     『軍事史学』第61巻第1・2合併号(通巻241・242号)

筆者      統率・戦史教育室 教授  小川 健一   統率・戦史教育室 准教授 福本正樹 2等陸佐

 2025年8月刊行の『軍事史学』第61巻第1・2合併号に、統率・戦史教育室 小川健一 教授の論文「宮古島・第二八師団の島嶼守備要領の解明-兵力密度の高い水際縦深配備・全縦深撃滅の追求-」が掲載されました。本論文は、宮古諸島を守備した日本陸軍第二十八師団の作戦準備を分析したものです。硫黄島や沖縄といった、実際に戦闘の行われた島嶼に関する研究は多くありますが、戦闘が起こらなかった外郭島嶼の守備要領は、」これまで十分に検討されていませんでした。本論文では、戦史資料や地元の証言を用いて、宮古諸島に展開した部隊がどのように水際防御から縦深配備へと守備構想を展開させていったのかを解明しています。日本陸軍の島嶼防衛思想を理解する上で新たな視点を提供する重要な研究です。
 また、同じく『軍事史学』第61巻第1・2合併号に、統率・戦史教育室 福本正樹 准教授(2等陸佐)の論文「ルソンかレイテか―比島地上決戦正面変更の葛藤に見る日本陸海軍用兵思想―」が掲載されました。本論文は、1944年のフィリピン戦において、日本軍がなぜ当初のルソン決戦方針を変更し、レイテ島での決戦に踏み切ったのかを解明するものです。その背景には、台湾沖航空戦の誇大戦果が陸海軍の判断を誤らせた事実がありました。著者は「邀撃帯構想」や「海上機動反撃構想」といった陸海軍それぞれの用兵思想に着目し、両者の齟齬が作戦判断にどのような影響を与えたのかを分析。太平洋戦争の帰趨を左右した重要な局面に新たな光を当てています。

 
















 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

備考
本件は、依頼元への提供時に部外意見発表手続きを実施済み。

2025年08月29日