研究報告
令和8年4月9日に行われた防衛学教育学群研究発表会において、戦略教育室の堀欠弥礼3等陸佐が「スウェーデンのトータルディフェンス」について発表しました。
まず、「トータルディフェンス(Totalfosvar)」とは、侵略のコストを高め成功の可能性を低くすることで潜在的な敵を抑止することを目的とした、社会全体のアプローチです。
スウェーデン、スイス、フィンランドおよびユーゴスラビアなどでも同様の取り組みが見られます。このうち、日本ではスウェーデンのトータルディフェンスに関する研究は少なく、1990年以前の冷戦期の時代の研究が主体です。また、トータルディフェンスはトータル防衛、全体防衛、総防衛、トータルディフェンスなどとの日本語訳は統一された訳語がありません。
このため、本発表では、スウェーデンのトータルディフェンスについて、スウェーデンの国家安全保障戦略(National Security Strategy(2024))、2025~2030年のトータルディフェンスの基礎(Utgangspunkter for totalforsvarent 2025~2030)、軍事ロジスティックスおよび軍事戦略コミュニケーションのドクトリン(Doktrintillagg Logistik(2023))およびDoktrintillagg Militarstrategisk kommunication(2023))を中心とした公式文献から、スウェーデンの脅威認識、7つの代表的なシナリオおよび陸上領域における脅威に対しての準備や計画等について、記載されていた内容を整理して発表しました。
ⅰ James Kenneth Wither,"Back to the FutureNordic total defence concepts?" Defence Studies,2020,Vol20,No.1,(London,2020),pp.62
ⅱ 例えば、岩島久夫「スウェーデンの国防合理化への道 ートータル・ディフェンス政策の実態分析ー」『国際政治第63号』1979年、石渡利康『北欧安全保障の研究』高文堂出版、1990年1月10日などである。