液晶
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コレステリック液晶の配向制御 コレステリック液晶は温度計や偏光素子として実用されており、現在は、電子ペーパーやフォトニック結晶などへの応用への研究が盛んに行われています。電子ペーパーとしては製品化されているものありますが、まだまだこれからの分野です。 一般的に、液晶の配向度を高めるためには、結晶成長などと同様に液晶を徐冷することが有効であることが知られています。しかし、我々は、Ch-ISO相転移点近傍の非常に狭い温度領域から急冷却もしくは、その温度領域へ急加熱することで、高い配向度を得ることができることを見出しました。本手法では、簡単な温度制御を用いるだけで、コレステリック液晶から容易に欠陥を取り除くことが可能であり、慣例的な手法とは異なるため、新規な配向方法であるといえます。現在、配向変化のメカニズムの解明ならびに新たなアプリケーションを探求しています。 ![]() ![]() 急冷却・急加熱より配向欠陥が除去されている過程 R. Ozaki et al, Appl. Phys. Lett., Vol. 92, pp.163304. また、圧電素子を用いて液晶に超音波流動を与え分子配向を制御する研究も行っています。この研究では、配向処理をしているにも関わらず配向が乱れているコレステリック液晶に流動を与えると液晶分子が一方向に流れるため新たな再配向が生じることを見出しました。下の動画は流動による配向変化を観察したビデオです。速度は16倍速になっています。(動画が止まっている場合はクリックしてください。)これらの研究から超音波流動が配向をアシストする役割を持つことが分かりました。強誘電性液晶やディスコチック液晶などへの配向アシストも期待されます。 ![]() 超音波流動によるコレステリック液晶の配向変化 R. Ozaki et al, Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 46, No.20, pp.L489. また、連続体理論に基づいたコレステリック液晶の配向計算なども行っています。理論計算はデバイス設計だけでなく、新たな可能性を探るツールとしても非常に有用です。 ![]() コレステリック液晶のらせんピッチの電界依存 液晶の粘度測定 液晶分子は粘性異方性を持っています。機械的なずりやずり振動による液晶の粘性異方性の測定は古くから研究されていますが、異方性を正確に測定することはなかなか容易ではありません。我々のグループでは、これらの既存の手法よりも簡便かつ容易に粘性及び粘性異方性を測定する方法として表面弾性波型デバイス中のShear horizontal (SH)波の伝搬モード変化を利用する手法を提案しました。粘性は液晶デバイスの応答速度に関わる重要な因子であり、粘性の研究は非常に重要な研究のひとつだと言えます。 ![]() ![]() M. Inoue et al, Jpn. J. Appl. Phys. 39 (2000) 5632. R. Ozaki et al, Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 46, No. 7B, pp.4734. マイクロ波応用 液晶は可視域だけでなく、マイクロ波・ミリ波帯での可変機能デバイスの材料としても電気的に誘電率を制御できるため注目されています。現在、マイクロストリップライン構造やコプレーナー線路構造に液晶を導入したデバイスの研究を行っています。実際にデバイスを作製し実験を行うとともに、マイクロ波伝搬や液晶配向計算を駆使してデバイスの最適化を研究しています。左下の動画は、液晶連続体理論によって計算したプラナー液晶セルに電圧を印加した際の配向の時間変化です。これらを多次元することで実際のデバイス内でのマイクロ波応答を計算することができます。また最近では、強誘電性液晶とコプレーナー線路構造を用いた高速マイクロ波デバイスを実証しました。 ![]() ![]() ![]() H. Moritake et al, Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 47, No.2, pp.1367. 内海他、信学論, Vol.J92-C, No.12, 2009, pp.778-788. 液晶自己保持膜のセンサ応用 ![]() ![]() ![]() 液晶自己保持膜の振動分布の測定結果と計算結果 H. Moritake et al, Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 46, No. 10B, pp.7128. |