コラム−13. 大きな宇宙構造物と折り紙

 宇宙開発・利用における大きな問題の一つに宇宙ゴミ(スペースデブリ)があります。宇宙ゴミは目的もなく軌道を周回している人工物のことで、使い終わった人工衛星やその破片、打ち上げに使ったロケットの上段などが含まれます。人類の宇宙開発と共にその数は増えており、現在は地上から確認できる10cm以上の大きさの物だけでも17、000個を超えています。  これらのゴミは地球の周りを "秒速" 数Kmの速度で移動しているため、それらのゴミに人工衛星等がぶつかると、例え小さいゴミでも大きな破壊を引き起こす危険があります。さらに、ぶつかった人工衛星が破損し利用できなくなると、これも宇宙ゴミとなってしまうため、宇宙ゴミがどんどん増える恐れもあります。  ひょっとすると、「広い宇宙空間なので宇宙ゴミとの衝突は気にしなくて良いのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、静止軌道のように、限られた有用性の高い軌道には人工衛星が多数存在している他、南北両極付近の様に多数の人工衛星が行き来する場所もあり、宇宙ゴミは大きな脅威となっています。  この様な宇宙のゴミ問題に対して、極力これ以上宇宙ごみを増やさないための国際的な取り決めがなされている他、地上からの宇宙ごみ監視体制の構築、既に宇宙にあるゴミを回収する方法の検討など、様々な取り組みが始まっています。

地球をとりまく宇宙ゴミのイメージ
(ESA、 Space in Images より)

コラム−14. 大きな宇宙構造物と折り紙

 人工衛星・探査機の中には、太陽電池やソーラーセイルの様に、薄くて大きな膜面を利用するものがあります。そのような大きな構造物を宇宙に打ち上げる方法として、小さくたたんでおいて、宇宙で広げる“展開構造“が用いられています。特に薄く大きな膜面の収納・展開には「折り紙(英語でも“origami”)」の考え方が用いられており、宇宙科学研究所が打ち上げた探査機IKAROSの開発でも多くの折り紙モデルが検討され、実際の折りたたみ方にたどり着いたそうです。この様な折り紙を用いた膜面収納のアイデアの中には、ミウラ折りの様にスピンオフされ、皆様の身の回りで利用されているものもあります。

ミウラ折りを利用したパネル構造の収納・展開


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