コラム−11. 潮の満ち干と衛星軌道

 月の引力が、潮の満ち干をおこすことは多くの人がご存じでしょう。広い海水面を持ち上げるほどの力ですから、人工衛星の軌道に影響をおよぼしても不思議はありません。実際、月の引力は衛星の軌道に変化をあたえ、特に、軌道がよこたわる面の向きを変えていくように作用します。
 さて人工衛星のなかには、地球に対してぴたっと止まった状態で働いているものがあります。静止衛星といって、通信や気象などに使う大事な衛星です。ところが月の引力のせいで軌道が変わると、衛星は静止できなくなってしまう。そのため衛星はガスジェットを噴いて、軌道を元に戻しながら静止を保とうとつとめます。そしてガスを使い果たしたら、衛星の働きは終わる。静止衛星の寿命はふつう、ハードウェアの寿命よりも月の引力とたたかうガスの分量できまります。
 夜空に風情をそえる月ですが、人工衛星にはちょっと困った存在といえましょう。

潮の満ち干


過去のコラムはこちら!!!
 コラム− 1. ヘリコプタの正操縦士の席はなぜ右側?
 コラム− 2. ヘリコプタはなぜ胴体の上に大きなロータをもっている?
 コラム− 3. 航空機エンジンはどのように進化した?
 コラム− 4. 大きな衛星を宇宙に運ぶには?
 コラム− 5. 軽くて丈夫な機体を作るには?
 コラム− 6. 飛行機の主翼の役割は?
 コラム− 7. 大気圏再突入時におこることは?
 コラム− 8. ロケットとミサイルの違いは?
 コラム− 9. がんばり屋の飛行船(風は大敵!?)
 コラム−10. 全翼機の長所と短所は?


このページに関するご意見、ご感想は、 こちら までお寄せください。

防衛大学校 システム工学群 航空宇宙工学科
〒239-8686 神奈川県横須賀市走水1-10-20
Tel:046-841-3810, Fax:046-844-5904