武内 康則(Takeuchi Yasunori) 准教授
最終学歴
2011年 京都大学大学院文学研究科博士課程行動文化学専攻単位取得満期退学
学位
博士(文学)(2013年1月)
「契丹語の研究」
教育科目等
比較文化概論、比較文化論、言語文化論、人間文化研究II、英語研究
専門分野
歴史比較言語学
キーワード
契丹語、契丹文字、モンゴル語史
主要所属学会
日本言語学会、東方学会、日本モンゴル学会、遼金西夏史研究会
著書・論文等
1.Takeuchi, Yasunori (2025) 'Age Expressions in Khitan Texts,' Central Asiatic Journal 68(1/2): 103-123.
2.武内康則(2023)『契丹小字で表記された漢語音と契丹語の音韻』(神戸市外国語大学研究叢書66)神戸:神戸市外国語大学外国学研究所.
3.武内康則(2017)「契丹語の数詞について」『アジア・アフリカ言語文化研究』93: 91-104.
4.武内康則(2016)「契丹語の複数接尾辞について」『言語研究』149: 1-17.
5.Takeuchi, Yasunori (2011) 'Kitan Transcription of Chinese Velar Initials,' Acta Orientalia Academiae Scientiarum Hungaricae 64(1): 13-23.
教官からひと言
私が研究している契丹語は、十世紀から十二世紀にかけて東部ユーラシアに契丹国(遼朝)を築いた契丹人が用いた言語です。契丹語は後に使用者が絶え、現在では死語となっています。残された資料の多くは石碑や墓誌であり、その総量も限られています。このような死語の解読研究は、一見すると地味なものに映るかもしれません。しかし契丹語は、現在伝わるどの言語とも異なる体系を持ち、モンゴル諸語の古い姿を探るうえで欠くことのできない手がかりを残しています。また、他の文字資料には残されなかった歴史の諸側面を、独自の角度から伝えてくれます。話し手を失ったこの言語が、なお当時の世界の輪郭を描き出してくれるのです。
私の専門である歴史比較言語学には、データの収集と扱いに関する厳密な方法論があります。これを支えているのは、「データに語らせる」とでも言うべき研究姿勢です。この姿勢自体は科学的な研究一般に通じるものですが、言語の研究において、こうした手法を最初に本格的に持ち込んだのが十九世紀に成立した歴史比較言語学であり、これが現在の言語学全体の礎となっています。手元のデータに何度も立ち戻り、思い込みを排しながら、断片の集積の背後にある構造を少しずつ見出していく──こうした地道な作業は、見通しの利かない事象を前にしたときの基本姿勢でもあります。
複雑な事象に出会ったとき、感情や先入観に流されず、データから出発して公正に判断を下す力は、皆さんがどのような場面に立たれるにせよ、きっと支えとなるはずです。加えて、言語学の知見そのものも、異なる文化や言語を持つ相手と向き合う際の手がかりを与えてくれます。言葉のしくみへの理解は、相手の世界を捉えるうえで一つの足がかりとなるからです。こうした人文学の研究方法、そして言葉を通じて他者の世界に近づいていく営みを、皆さんと一緒に学んでいけたらと思っています。






