研究科長より

有賀 誠


防衛大学校総合安全保障研究科は、安全保障に関する日本で最初の本格的な大学院レベルの教育研究機関です。1997年(平成9年)4月に前期課程(修士課程)の教育研究が開始され、2009年(平成21年)4月には後期課程(博士課程)が発足しました。

前期課程学生は2年間で30単位、後期課程学生は3年間で10単位の科目履修に加え、卒業論文の作成が求められます。本研究科を修了した後、大学評価・学位授与機構による審査を経て、それぞれの課程に応じて安全保障学の修士号と博士号とが授与されます。

定員は、前期課程が20名、後期課程が7名ですが、教授陣は2018年4月現在40名を超えており、密度の濃い指導が行われています。1対1の論文指導に加えて、専門分野ごとに複数の教官と複数の学生が1つの班を編成し、集団で論文指導を実施しています。これは研究科が発足以来取り組んできたユニークな教育の一つです。

学生には、24時間使用可能な学生用の研究室に書架、PC等が与えられ、安全保障分野のさまざまな電子ジャーナルやオンライン・データベースも利用できるなど、研究環境は十二分に整備されています。

本研究科は、陸・海・空の幹部自衛官及び文官の防衛省職員を主要な教育対象としますが、学生のバックグラウンドは多様です。文系出身者だけでなく、大学時代に理系だった学生も少なくありません。防衛省以外の官公庁や民間企業に勤務する方も学んでいます。これまでに衆参両院事務局、海上保安庁、法務省や、朝日、産経、読売の各新聞社、PHP研究所、テレビ朝日などから研究科生受け入れました。海外からは、韓国の陸海空軍将校、カンボジア陸軍やモンゴル陸軍の将校を受け入れてきました。さらに2010年からは「特別研究員」制度が始まり、官公庁や企業に勤めていない学生や社会人の方も受験できるようになりました。特別研究員は、教育補助または研究補助の業務に従事しながら(時間給が支給されます)、他の学生と同様に授業を履修し、学位取得を目指して論文の指導を受けています。

上記に加えて、2019年度からは、前期課程に「専修プログラム」、後期課程に「特修プログラム」が新設されます(現在「大学改革支援・学位授与機構」による審査中)。専修プログラムは、一定の実務経験を持つ自衛官・技官・官民組織所属者等を対象とし、「高度な専門職業人の育成」、「実践知の探究」を目的とするプログラムです。修士論文ではなく、「特定課題論文(リサーチ・ペーパー)」を卒業論文として提出することも可能で、1年間での卒業を目指します。また、特修プログラムは、博士論文が概成していることを出願要件として選抜試験により選抜し、最短1年間で、博士論文を完成させ、博士号の取得を目指すプログラムです。いずれも、今年度から募集を開始しますので、意欲的な方のチャレンジを期待しています。

コースワークは決して楽なものではなく、学生は相当な努力を要求されます。課程の途中で脱落する学生もいないわけではありません。もちろん、われわれ教官及び事務官は、教育目的を達成するためにいかなる支援も惜しみません。本研究科において高度な安全保障に関する知識と分析力を身につけ、それを防衛省・自衛隊や各省庁、各企業、それぞれの母国、そして広く社会に還元してくれることを期待しています。

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