全翼機の長所としては,尾翼や胴体が無い分,一般の飛行機よりも構造重量や空気抵抗が小さくなり,燃費が良くなることが挙げられます。この長所は古くから注目され,全翼機は1930年代には既に存在していました。また,尾翼や胴体の存在はレーダーの反射面積を大きくしてしまいますが,これらが無い全翼機においてはステルス性が高くなります。一方,短所は,設計上,姿勢の安定性を確保するのが一般の飛行機よりも難しいことです。一つの翼だけで空力的な安定性を得るために,従来から,後退角をつける,翼端部を捩り下げる,翼型をS字にするといった工夫がなされてきました。また,B-2爆撃機では,アクティブ制御技術によって常に舵面を動かすことで安定性が確保されています。 上に述べた長所があるため,最近では,X-47に見られるように,無人軍用機の分野でも全翼機が採用されつつあります。さらに,近い将来,全翼の旅客機も登場するかもしれません。実際,厳密には全翼機ではありませんが,X-48という全翼に近いblended-wing- body型試験機の開発が進められています。ただし,実用化する上では,窓が少ないことにより旅客が感じる閉塞感を,解消する工夫が必要であるとも言われています。
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