人類の行動範囲は、地表から空へ、空から宇宙へ、そして月や惑星まで広げてきました。空や宇宙から地表を見ることによって天気や資源分布がわかるようになりましたし、防災や防衛などに活用されてきました。また空や宇宙を知ることによって地球の未来を予測することにつながっています。ロケットはこうした活動を「運ぶ」という点で支えてきています。
ロケットには、大きなものを速く運ぶのに適した化学推進と推力は小さいけれど推進剤を節約できる電気推進があります。例えば、固体ロケットモータは化学推進の一つ、イオンエンジンは電気推進の一つです。多くの種類のロケットがあり、それぞれの特長に合わせて、打上げロケットやミサイル、人工衛星に搭載されています。
推進工学分野では、国内でも数少ない専用施設や器材を用いて、燃焼制御が難しい固体ロケットの燃焼中断や再着火、イオンエンジンのさらなる高性能化や信頼度向上などを主テーマとして研究を進めています。
化学推進のひとつである固体推進は一番歴史が長いロケットエンジンです。宇宙開発用ロケットやミサイルなどにたくさん使われていますが、その燃焼メカニズムには不明な点が数多くあります。本分野では推進薬の種類、温度、圧力や形状を変えながら燃焼させ、その特性や燃焼の安定・不安定を見極め、よりよい性能を持ったロケットエンジンや新しいロケットエンジンにするための研究を行っています。
大推力発生に適した化学推進の実験を行うためには、たとえ小型エンジンであっても、万が一の場合に事故を起こさないような安全な実験施設が必要です。本分野では、他大学にはない、専用の燃焼試験施設を備えています。航空宇宙工学科に配属された全学生はこの施設で燃焼実験を行います。体で響きを感じながら防爆ガラスを通して間近で見る体験は、将来の自衛官である学生には貴重です。
情報収集衛星、気象衛星、通信衛星が国防に貢献していることからわかるように、自衛隊にとっても宇宙利用の必要性は高まっています。これらの衛星には姿勢制御や軌道変換を行うためのロケットエンジンが必要ですが、宇宙では推進剤を補給できないので、推進剤を節約できるイオンエンジンやアークジェットなどの電気推進が有用です。本分野ではこれらのエンジンと併せ、次世代推進も研究しています。
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