本文へスキップ

〒239-8686 神奈川県横須賀市走水1-10-20
防衛大学校 応用化学科 応用物理化学研究室

CIW留学記

CIW留学記 〜第5回ワシントンの生活雑感〜

 毎日寒い日が続きます。DCは、今年は例年になく雪の多い年らしく、雪の降らない週はありません。雪の降った2、3日あとには道路が凍結するので大変怖いです。ところで私は先日、一週間程シカゴにあるアルゴンヌ国立研究所(APS:Adovanced Photon Source)というところに、放射光を使ったX線回折の実験に行かせてもらいました。
今回は、その模様について報告したいと思います。

APS

 米国ではこのような施設で実験するためには色々な制約があるらしく、なんと2つの試験をパスしないと実験をさせてもらえません。(ちなみに、日本の同様な施設であるスプリング8では簡単なオリエンテーションがあるのみで、すぐ実験させてもらえるそうです。)一つは主に放射光の原理や危険性を問うもの、もう一つは、所内のルールや機器の使い方を問うもの、です。一回までは落第が許されるそうで、合格ラインは9割以上正解していることです。試験のために事前にガイドブックが渡され、勉強することが要求されます。ここの特徴としては、ビーム径が世界で一番小さい(20マイクロと言ってました)ことです。エネルギー的にもスプリング8(8GeV)の次に高い(7GeV)ものが得られています。全部で34ほどの色々な目的の実験に対応するLOMがあるのですが、我々カーネギー研の高圧グループ専用のビームライン(HPCAT:High Pressure Corroborative AccessTeam)が設けられていて、今回このステーションで実験しました。他にはBIOCAT,CHEMCAT,GEOCATなんていうのもありました。

 さすがに米国の施設だけあって敷地面積は広大で、シカゴはDC以上に気温が低いこともあり、敷地内にある泊まっているホテルから実験ハッチまで歩いて行くのが結構大変でした(30分くらい)。正門からだと、1時間はゆうにかかりそうです。また、各門から敷地内への入場はユーザーである証明のIDバッジを持っていないと絶対に入れません。それでも門のところでは、かなり入念なチェック(ボディチェックを含めて)がされます。(テロ以前からそうらしいです)さらには、24時間いつも危険物を嗅ぎ回る?犬(シェパード)がうろうろしていますし、夜中には軍関係の人と思われる人も巡回してました


ホテル ハッチ

 さてここでの成果ですが、クライオスタットを使って低温・高圧下のその場測定はかなり大変で、まず装置等のセットアップに丸3日くらいかかってしまい、実際は3日間程度しか本当に実験ができませんでした。このあたりはビーム径の細さが逆にあだとなってしまい、試料のセンター出しがかなりシビアになってしまったことも原因の一つです。それに温度や圧力を変えると圧力容器などが少しずつ収縮するので、その補正をどうするのかというのも問題でした。
クライオスタット

 さすがに、これだけビームのエネルギーが高いと、私の場合、試料の一つのポイントの測定に要する時間は30秒程度でかなり良いデータが得られました。それでも圧力を約20万気圧まで上げるところまでやると、一回のランには試料を冷却するのを除いて36時間くらいかかってしまいました。

 そんなこんなで最後の2、3日は徹夜続きでほとんで睡眠できませんでした。結局、当初experiment 4まで予定していたのですが、一種類の実験しか行うことができなかったのが残念です。(なにもないよりは、ずっとましですが。)また今度、4月くらいにビームタイムをもらえるみたいですので、次回はもう少しスムーズに始められるかなと思っています。
 今、アメリカの空港はセキリュティがやはりとても厳しくて、我々のように金属製の重い実験装置を持って旅行するものにとっては、必ずチェックポイントでひっかかってしまいました。そのたびに、つたない英語で係官に説明しなくてはならず、まいりました。(しっかり説明しないと没収されてしまいますので大変です。)そうこうしているうちに、飛行機の搭乗時刻は迫ってきますし。

 例えば、靴を脱いで、X線にかけてと結構シビアです。ベルトは完璧にひっかかります。使い捨てカメラも、通せないので、時間がかかります。旅行カバンはいつでも開けられるように鍵をかけてはいけません。(鍵をかけていた場合、必要とあらば壊されます。)
 シカゴもとても風が冷たくて息もできないほどでしたが、DCに戻ってみると、なんと前日に2フィート以上の大雪が降ったそうで車が雪で埋まっていました。道がどこにあるのか分からない状態です。生まれて初めて都会でこんなに雪があるのを見ました。そんなこんなで、雪はいまだに溶けず通勤にも不便なことこの上ないです。今でもずっとポトマック川が凍っています。
 でも、もう少ししたらポトマック川沿いにある、日本から贈られたという桜でも見にいこうと思っています。

ナビゲーション

shop info店舗情報

防衛大学校 応用化学科 応用物理化学研究室

〒239-8686
神奈川県横須賀市走水1-10-20
TEL.046-841-3810
FAX.046-844-5901